はじめに キューバへのプロローグ 1
世界が着目するキューバの都市農業 2 / 市域の四割が農地となり、有機野菜の自給を達成 4 / ラテンアメリカ最古の都市の新たな挑戦 7 / サルサのリズムが響き渡る首都ハバナ 10
コラム1 ハバナ誕生物語 13
I 食糧危機を救ったキューバの都市農業 17
1 未曾有の経済崩壊が都市を襲う 18
金がなくても成り立つ暮らし――ラテンアメリカのユートピア 18 / ソ連依存の疑似ユートピア 24 / ソ連崩壊と経済封鎖のダブルパンチ 29 / 輸入食料不足と国内農業の瓦解 32 / 一○キロも痩せ、栄養不足で失明者が続出 34 / 病気になっても治療を受けられない 36
2 町中を耕す市民たち 42
日系二世が耕す「日本人」農場 42 / ゴミ捨て場を農地に――失業者たちの協同組合農場 47 / 脱サラ教員夫婦がはじめた協同組合農場 51
II 園芸都市ハバナ、かく誕生せり 57
1 軍が始めた「プロジェクトX」 58
ビタミン錠剤が野菜の代わり 58 / 空き缶にも野菜を植える 61 / 中国系元将軍が思いついたこと 63 / ゴミ捨て場を畑に変えるオルガノポニコ 67
コラム2 ハバナ各地区の都市農業の姿 72
2 都市の空き地、畑になる 76
耕す市民に国有地を貸し出す 76 / 「都市農業グループ」設立さる 78 / 土地は公共のもの、耕せる人が使えばいい 79 / 都市計画上も都市農業を最優先 83
3 有機野菜づくりの助っ人・都市農業普及員 87
知識のない市民に野菜の作り方を教える 87 / 都市農業の先進地サンタ・フェ 89 / 草の根レベルで有機栽培技術を指導 92 / 分権化とアカウンタビリティに応える 94 / 紙はなくともテレビがあれば 96
4 農家に学ぶ研究員たち 100
都市農業を支える層の厚い研究陣 100 / 第一線の現場に立つ研究者たち 105 / 三万人以上の農家がセミナーを受講 109 / 農家と研究者との意見交換の場「都市農業全国会議」 111 / 農家との協同研究に基づく都市農業振興計画 113
5 コンサルティング・ショップ 118
ミミズ堆肥から苗木までを市民に販売 118 / 国の直営から独立採算での自主運営に 122 / 市民たちへの農業教育の拠点 124
コラム3 在来品種の復活 128
6 人気を呼ぶ野菜直売所 131
三○個の卵が給料二月分 131 / 全国で一○○カ所以上の農民市場をオープン 134 / 農産物販売自由化への長き道のり 136 / ハバナでの暴動を契機に流通改革に乗りだす 138 / 野菜消費の半分をまかなう都市農業の直売 141 / 直売を通じて廉価で市民に野菜を提供 145 / ボランタリーな寄付の文化 149
7 危機を救った緑の薬品 153
アメリカよりも進んだ福祉医療大国 153 / 輸入医薬品を代用したハーブ薬品 155 / 非常時用にオルターナティブ医療を研究していた国防軍 160 / 東洋医学の全国的な普及 162 / 近代医療と伝統医療を統合する 165
8 都市農業の多面的な機能 169
景気が回復しても都市農業はなくさない 169 / 観光客に有機農産物を食べさせたい 170 / 食料生産、環境改善、雇用創出、生きがい対策 172 / 都市農業で活力を得たコミュニティ 174
III 緑の都市を目指して 181
1 わたしの緑計画 182
国土緑化に国民の半数が参加 182 / 草の根ボランティアで一二○○万本の木を植える 186 / モノ不足を補う環境意識とコミュニティ参加 189 / 廃棄ビニールや空き缶で苗床を作る 190
コラム4 キューバの使徒ホセ・マルティ 194
2 首都公園プロジェクト 199
首都のど真ん中に緑のオアシスを 199 / 首都公園化の戦略プランを立てる 205
アルメンダレス川の浄化作戦 207 / 有機農場づくりと森林復元 212 / エコツーリズムで外貨を稼ぐ 214
3 キューバの交通革命 218
自動車天国だった首都ハバナ 218 / 中国から一○○万台の自転車を緊急輸入 221 / 工員や市民のアイデアで乗りやすく改良 223 / 景気が回復しても自転車は捨てない 227
4 原発から自然エネルギーへ 230
完成しなかった幻の原発 230 / 自然エネルギーへの方向転換 233 / ソーラーで動く山村の診療所 235 / 山村の二○○○校をソーラーパネルで電化に成功 238 / 太陽は経済封鎖できない 239 / 持続可能な開発の実験場 241
5 経済危機を逆手に取った環境教育 246
ラブレターを書くために――識字運動の展開 246 / 障害者教育から生涯学習まで、恵まれた教育環境 249 / 経済危機を逆手に環境教育へシフト 252 / 子どもの創造性を引きだす環境クラブ 257 / 省エネ運動も環境教育に活かす 259
VI 持続可能な都市を可能とする仕組みづくり 265
1 サンフランシスコの都市農業 266
失業者たちの自力更生運動 266 / 菜園に様変わりしたゴミ捨て場 268 / 菜園を活かして食農教育を進める 272 / コミュニティ住民を元気づける都市農業 274
2 コミュニティ・ソリューション 278
アメリカやイギリスで着目されるコミュニティ 278 / 構造改革の果てに蘇った空想的社会主義 282 / コモンズの悲劇を回避するソーシャル・キャピタル 283 / 権威主義や市場原理ではコモンズの悲劇は回避できない 286 / コミュニティに根差した社会改革を進めるキューバ 288
3 コミュニティ医療とまちづくり 293
ボトムアップ型のまちづくり 293 / コミュニティをベースとした地域医療 296 / 高齢化社会へもコミュニティで対応 300 / コミュニティの免疫力を高めるファミリードクター 301 / 医師に求められるコミュニティからの推薦 304
4 市民社会とキューバのNPО 307
地方分権化の推進と省庁再編 307
コラム5 地方分権と軍 313
経済危機の中で急成長するNPO 315 / 市民社会の活性化に欠かせないNPO 317 /
官製市民組織があればNPOはいらない? 320 / 海外NGOとの連帯とインターミディアリーNPO 325 / 行政、官製巨大NPO、市民NPOのパートナーシップ 327
コラム6 キューバのNPO 331
5 市場原理とのバランスを求めて 336
ソ連流のモノ重視経済の破綻 336 / モラルによるボランティア動員とその失敗 340 / 痛みの伴わない構造改革 345 / 守るべき社会主義の理念 348 コラム7 『坂の上の雲』とキューバ 351
V 21世紀の都市は園芸化する 355
1 躍進する世界の都市農業 356
将来は市民の食料需要の半分を担う都市農業 356 / 実態調査を通じて国連も都市農業に注目 358 / アフリカから東欧まで都市農業は市民を養う 361 / 都市農業は地球温暖化の防止に貢献する? 368
2 江戸は世界最大の園芸都市だった 373
ゼロエミッション都市・江戸 373 / 環境破壊を招いた江戸の列島改造 379 / フロンティアの喪失と累積赤字の増大 380 / 麗しき東洋のアルカディア 383 / 産業革命に匹敵した江戸の勤勉革命 385 / ソーシャル・キャピタルが豊かな社会 388
あとがき 394
参考文献 405