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カーボン・マーケットとCDM

「環境・持続社会」研究センター[編]

2400円+税 四六判 272頁 ISBN978-4-8067-1382-1

温暖化防止・持続可能な発展のための低炭素社会の仕組みづくりを、第一線の研究者・専門家、環境NGO活動家たちがまとめた緊急リポート。

「カーボン・マーケット(CO2排出量取引市場)」・「CDM(クリーン開発メカニズム)」の現状と今後を、様々な角度から論じた、関係者必携の書。

さらに、「カーボン・マーケット」・「CDM」と密接に関連する、気候変動の「国際枠組(条約)」のあり方、途上国における温暖化対策・持続可能な発展を実現するための日本・先進国の「国際協力」のあり方、「カーボン・オフセット」も含めた日本・先進国の「国内の温暖化対策・政策」のあり方にも言及。

詳細な用語解説付き。

気候変動・国際関係・資本主義のあり方などに関心のある方々におすすめ。


CDM(クリーン開発メカニズム)とは・・・
京都議定書により温室効果ガス削減プロジェクトを実施し、その結果、削減した量をCO2削減クレジットとして取得できる制度。
Clean Development Mechanismの略語

【主要目次】


序章:世界が低炭素社会へ向かう道筋とは?
        ‐CDM、カーボン・マーケットの現状と課題     古沢広祐(国学院大学教授)

    1 現状と見通し
    2 本書のねらい
    3 本書の構成(簡単な内容紹介)


第1章:クリーン開発メカニズムの現状と課題     明日香壽川(東北大学教授)

    1 京都メカニズム導入の政治的背景
    2 京都メカニズムをめぐる動き‐クレジットの質の違いと価格の違いを中心として
    3 CDMクレジット市場の現状
    4 CDMの課題
    5 CDMと他の制度との関わり
    6 今後の展望
    コラム1 現在のクレジット価格は一体全体どこから来たのか?
    コラム2 非追加的プロジェクトの具体例‐明日香新幹線プロジェクト

第2章:CDMと持続可能な発展
     古沢広祐(国学院大学教授)

    1 本章の背景とCDM発行プロセス
    2 CDMプロセスと持続可能な発展
    3 ホスト国の承認における持続可能な発展
    4 投資国の承認における持続可能な発展‐日本を例にして
    5 NGO等による持続可能な発展指標
    6 おわりに

第3章:CDMのプロジェクト地域とタイプの偏在
     井筒沙美(ナットソース・ジャパン)

    1 CER市場の現状
    2 偏在するCDMの現状
    3 偏在の主な原因‐ビジネスとしてのCDM開発
    4 偏在するCDM開発に対する課題と取り組み
    5 おわりに
    コラム3 ユニラテラルCDM

第4章:ゴールド・スタンダードの有効性と課題
     山岸尚之(WWFジャパン)

    1 ゴールド・スタンダード創設の背景
    2 ゴールド・スタンダードの目的と仕組み
    3 ゴールド・スタンダードが適用されたプロジェクト事例
    4 ゴールド・スタンダードの成果・課題・展望
    コラム4 拡大するボランタリー・マーケットでのゴールド・スタンダード

第5章:カーボン・オフセット
     西俣先子(国学院大学非常勤講師)・足立治郎(JACSES事務局長)

    1 カーボン・オフセットとは
    2 日本におけるカーボン・オフセットとうたっている取り組み事例
    3 カーボン・オフセットに使用されているクレジット
    4 カーボン・オフセットに関する制度整備状況
    5 オフセット・プロバイダー
    6 カーボン・オフセットの課題および議論
    コラム5 国内のオフセット・プロバイダー

第6章:CDM、カーボン・マーケットの適正化
     足立治郎・西俣先子

    1 気候変動対策とCDM
    2 問われるCDMの質
    3 問題があるとされるCDMの事例と考察
    4 悪質なCDMの防止策‐現行のチェック体制強化と補完的な新たなチェック体制の提案
    5 カーボン・マーケットの質の向上と気候変動対策
    6 気候変動対策の可能性と課題
    コラム6 ODA・多国間開発銀行をウオッチしてきたNGO  田辺有輝(JACSES)
    コラム7 “京都議定書”の検証はCOP3京都会議ホスト国の責任 -二〇一三年以降の国際枠組みが真の排出量削減につながるために-  黒坂三和子(JCSD)

あとがき
用語解説
著者略歴

(なお、本書は、多くの客観的なデータと多様な見解の提示に努めており、各章は独自の見解を提起していますが、必ずしも統一見解にもとづいて展開されているものではありません。)