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擬態1・2

【書評再録】


●日経サイエンス「森山和道の読書日記」評(2000年4月号)=見れば見るほど、そして知れば知るほど不思議さに驚嘆する擬態の世界。「擬態1、2」はその魅力を伝えてくれる2冊。カラー口絵を見ているだけでも楽しいが、本文を読むと、さらに楽しさが倍増する。

●バーダー評(2000年3月号)=擬態に関する書物は、1970年代に翻訳本が出て以来、日本人の研究者によってまとめられた初めての本となる。それだけに内容の濃い論文が満載。天敵の目を欺くためや、獲物を捕えるための擬態もあるが、興味深いのは有毒な種に無毒な種が似る“ベイツ型擬態”。別の種なのになぜこんなに似るのか? 擬態にはまってしまいそうな2冊。

●遺伝評(2000年6月号)=人が似ていると思っていても、捕食者は果たして同じように認知しているのか。また逆に、普通人の目には似てると思えなくても、生物同士では何らかの模倣になっていることがあるのではないか。本書を読むと、こうした疑問につぎつぎにつきあたり、しばし本を読むのが止まり考えにふけってしまう。本書の最もすぐれた点は、擬態に関し、まさに現在進行形の疑問をそのままなげかけている点にあるだろう。そしてそこに至る議論の経過についても詳しく紹介され、素人でも平易に追える点にある。
擬態というと、モデル、擬態者、天敵という三者だけを「見て」しまいがちだが、もっと広い範囲を見わたさないと本当のことは見えてこないようだ。「なぜ黒い鳥がいるのか」「チョウのメスだけが擬態するのはなぜか」「シマシマのヘビは誰に擬態しているのか」一見素朴な疑問の中に、躍動する自然の姿を見いだすヒントがつまっているということを教えてくれる好著だ。
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