杉山経昌[著]
1600円+税 四六判 288頁 2006年9月発行 ISBN4-8067-1336-8
脱サラ☆人生の新しい選択 ↓小さな起業!
サラリーマン人生は時代遅れ...?発想を変えれば、農業は「宝の山」!!これからの「低コストビジネスモデル」としての農業を解説した本です。
20世紀型のビジネスモデルは「ムダ」と「ムリ」が多すぎる!
「ムリ」せず働き、やりがいがある。週休4日、時給3000円の新しい生活があなたにもできます。先端外資系企業の管理職をバブル期に脱サラし、百姓となった著者が書き下ろした。最小コストで最大の利益を生む「すごい経営」。それが「個人」で実現できるのが農業だ。
はじめに ゆっくり夕陽を眺めて暮らしたい!
1章 まずは価値観の転換からはじまる
1 農業はTおいしいU業界です 真の自由を手に入れる、創造的ビジネス 給与所得者の経験が一〇〇%役に立つ職業 起業・独立を考えるなら、二〇〜三〇年後の世の流れを見通そう 純資本回収率八%というビジネス! これほどクリエイティヴで、楽しい仕事はない! 工夫の余地が山のように残されている業界2 経済規模最小で生きる 小さな経営に宝あり! 「小規模=高効率」を実現しよう 儲けたかったら、仕事を半分やめよう〜週休4日の本当の意味 小さくするためのポイント 生活費ゼロを想像してみよ 大きくすると必ず失敗! 五〇〇万のスモールビジネスモデルの集合体 単なるオペレーターになるから、つまらない 農業という営みの本質を知っておこう 地産地消が時代の流れ3 時給3000円以下の仕事はするな! 自分の値段は自分で決めてしまえ いかに少ない時間で収入をあげるか?4 自分の取り分はこうして増やす なぜ、「米」をつくってはいけないのか? 米はTイカン!U リスク大!の作物を知っておこう 私が米作りをしないワケ もっともっと高い作物を! 「100円ショップ」のオーナーになるな! 自分のつくったものの値段は、自分でつけろ! 農産物を心で売る方法5 あなたを働きアリにさせる大きなワナ? JA(農協)とどう付き合うかで、すべてが決まる! 情報やサービスはタダではない! なぜ、農協があるのか? 2章 スギヤマ式スモールビジネスのコツ 経営術を身につける唯一の方法〜それは失敗すること1 スモールビジネスの極意 「ムリ」「ムラ」「ムダ」をはぶく 農機からヘッドライトをはずせ! 従来の経営者が陥りやすい間違い なぜ、農作業にはムダが多いのか? 労働時間の管理だけでもライバルとの差は大きい アイデアを生むための「非常識」2 価格設定のコツを伝授します T6倍の価格設定Uが適正! 「個性」を受け入れてくれない市場やスーパーを相手にしない 柔軟な価格体系と品質メニューで、お客さまのニーズを最大限に吸収する ニッポンの農産物は本当に高いのか? 私の価格設定哲学〜価格は高いほどおしゃれだ! 百姓仕事を過大評価し、ほかの産業を過小評価してビジネスしろ! 百姓の「タダ同然」はタダではない 自分の労働を安売りするくらいなら......3 つくって、直接売る。 サービス業のマインドは絶対必要 どう付加価値を付け、リピーターを獲得すればいいか? グリーンツーリズは「おもてなし」 値切ってくるお客さまとゲームを楽しむ プラスαのサービスをプラスβの収入に4 すべてのビジネスは情報産業 顧客管理のコツは引き算! 情報は飯のタネ、最大の財産と心得よ 情報処理法のコツは増やすことにあらず お客さまをいかに消していくか? 5 専門的で奥が深い! だから高収益! Tスギヤマ式Uぶどうのつくり方 スギヤマ式「品種選び」のコツ ぶどうほど、たくさんの情報がある作物もない 勉強は退屈だから、いつも勉強し続けられる仕組みを持っておく 植物の生理に興味を持てば、楽しさ100倍! 技術習得の奥義は恋・ 高収益農産物は差別化技術が求められる 将来性のある最先端ビジネスとしての農業6 いろいろなチャレンジが楽しい 趣味の作物づくりで一石多鳥 食べたい作物をこだわり農法でつくり、食卓に並べるゼイタク 「小麦」で基本技術を習得しておく 作業の前に必ず目標を整理すべし 道具にこだわりたい 食べたい果樹をつくる、これが基本 あえてむずかしい栽培に挑む! 「世界がもし100人の村だったら」分析 農業を見くびった恐ろしい罰 先輩の言葉を聞いておけば...... いろいろ手を出す前に知っておきたい失敗例 風がふけば農家が儲かる? 粗放化という労働の節約を積極的に活用? 3章 人生で大切なことは農で学んだ1 夢を満たせる職業です! T週休4日UでT上司もいないU田園生活 自由な時間が増えたからこそ、充実のネットワークを築く2 人間の本能に根差した生活を 太陽の恵みを回収しつくす 最高の贅沢を知るには? 自然に埋没して生きていく快適さ 煙突から出る木酢までとことん回収3 一七年間、お客さまが目の前で食べるのを見てきたが...... 本当の美味しさとはなんだろう? 糖度が高ければ美味しいのか? 心や目で味わうぶどう狩り 美味しいって何? 味の優劣に普遍性はない、TPOだ 果物の味、「テイスト・オブ・ブルース」それを追求する4 作物栽培が教えてくれたメッセージ 弱々しいものほど繁栄する 「スギヤマ銀行」総裁としてぶどう畑の格差問題に対処する フローとストックを管理する 「富」とは見栄のために蓄積するのではない 栄養不足で小さいことがプラスに 枯れるものは枯れる無情な世界から見えてくる「生き残るべきもの」 価値観の変化を認識すべし! うっかりミスを「想定内」に ディープエコロジーへ これからは「きれい比較」がすべての基準最後に〜輪廻転生の発想であとがき〜妻への手紙「小さな生活」付録 果樹園経営ConsoliPack〜栽培技術から経営管理までの完全マニュアル
百姓になる前、外資系企業でサラリーマンをしていた。 通信機会社からはじまって、転職も経験し、外資系半導体メーカーの営業マンとなった。 当初は売り上げ二〇億程度の会社だったが、私が営業に参加してからぐんぐん売り上げを伸ばし、十何年かで、二五〇人の営業部隊を率いて、三六〇億円を売り上げるまでに成長した。 百姓になろうと思ったきっかけは、出張先のアリゾナで、夕陽を眺めていたときだ。 そういえば、俺は日本で夕焼けを見たことがないなと思った。 満員電車に揺られて会社に行って、家に帰るのは午前一時。日没の時間も仕事で動き回っている。 アリゾナの一流ホテルに泊まって、豪華なレストランで、最高のディナーを食べながら、この人生はおかしいぞと思った。 サラリーマンが嫌になった。 そのとき仕事で嫌なことがあったとか、自分の置かれた状態が嫌だと思ったわけではない。もっと根源的な嫌悪感だった。 サラリーマンには将来性がないなと思ったのだ。 自分の人生、時間をお金で会社に売り渡している気がした。 このままでは、俺は経済システムと競争社会の中でまさにコマのように使われているだけだと思った。 自分自身の人生を自分で楽しんでいない。人間らしい生活をしたい! そのとき思い出したのが「うさぎおいしかの山〜♪」の世界だった。 田園の中で生活し、山に行って百合根を掘ったり、川に行ってカニを捕まえて食べたり……という生活。 じゃあ、何をやるかとなったとき、やっぱり、「農業」が一番人間らしい生き方ができるにちがいないと思った。 収入は激減して、たとえ一〇分の一になったとしても、そこに心豊かな生活がきっとあるにちがいない。 それに、食べ物をつくってるんだから、飢え死にすることはないだろう。 その瞬間、一生懸命お百姓さんをやろうと決心した。農業ほどおいしい業界はない! それで、いざ農業をはじめてみると、これが私にとっては「天職」だった。 しかも、この産業ほど「おいしい業界」はなかった。 サラリーマン時代に培ってきたビジネス的センスも活かし、農業を効率的なビジネスとして成功させることができた。 しかし、ここでいう、「成功」や「おいしい」とは、イコール「お金が儲かる」ではない。もちろん、私は「3K(快適、かっこいい、金が儲かる)農業」を提唱しているから、豊かで文化的な生活はゆずれない。夫婦二人で、車三台。三七インチの液晶テレビもある。パソコンも四台。旅行も年に数回行く。 しかし、何より「おいしい」と実感できるのは、農業こそがこれからの「二一世紀の価値観」に合致しているからだ。 これまでの「二〇世紀の価値観」とは、お金をたくさん稼ぐために、ものをたくさんつくって、たくさん売って、たくさん捨てさせるということを良しとする価値観だ。 物質の循環を大きくするほど、お金が入ってくる仕組み。 この価値観では、経済規模が大きい国ほど豊かで良い国となる。 私は、それは間違いだと思っている。 心が豊かになるために必要なお金はそれほどいらない。 前著『農で起業する!』は、農業書としては異例の反響があった。 刊行一年を待たず、読者の方からは二五〇〇通にもおよぶメールや手紙をいただいた。農園へ訪問してくる者も二五〇名を数えた。講演会などの依頼も増えた。 しかし、私の職業は「百姓」である。本業の百姓をおろそかにはしたくないし、また「悠々自適で週休4日」は絶対目標だから、お断りすることも多い。 そこで、本書をまとめてみた次第だ。 前著は、サラリーマン時代で培ったビジネスセンスを農業という遅れた業界で活かすと、お宝がザックザック、楽しい農業ができますよーということを書いた。 おもに、他産業(外資系ビジネス)から農業へというベクトルで書いた本だが、「スモールビジネス入門書としても最適」との感想もいただいた。ほかにも、私の「就農物語」を読み、農業→他産業というベクトルで読んでくれた方がいた。「スギヤマ式農業経営」は、新しい価値観にもとづく 『農で起業する!』を読んで、訪問してきた読者の中に京都大学の学生がいる。 彼は起業家である。すでに二つも農業法人を立ち上げた。 彼が指摘したのは、人の移動を労働の流動ととらえたとき、他産業から農業へ移動しても農業から他産業への流れがなく、一方通行であることであった。 これは農業が、「人が成長していく過程」「キャリアーパス」または「経験の蓄積」、ととらえられていないからである。 例えば「私は農業に従事して輪作体系を組み立てました」と履歴書に書いて、その奥深さと努力と技術が他産業から評価されるようになれば、労働は双方向の流動性を確保する。 そのように農業を位置づけ、情報化できた時に農業の近代化はなる。 私は、農業こそ、これからのトレンドビジネスであると実感している。それは働き方の面でも、その目指す方向性も二一世紀の時流に合っているからである。 本書は、なるべく農業で得たスモールビジネスのコツ、価値観を他産業のビジネスパーソンへ向けて提供できるような視点でもまとめた。 遅れているのは、満員電車に揺られ、ストレスまみれのサラリーマンかもしれない。 これからは二一世紀型の新しい価値観(「農業」の価値観)でビジネスしようではないか! また、本書で書かれることはすべて、机上の「経営論」ではない。実際に私がやってみて、泥にまみれた末に得た「経営術」である。 だから、本書ではすべての実例を詳述しつつ、そこから導き出された戦術を解説している。農業はもちろん、以前やっていたビジネスからもたくさんの具体例をあげている。 なるべく具体例に則して書いているから、その例だけを見て、「自分には関係がないや」と思わないでほしい。 執筆にあたっての時間、コストを考えたら、これほど時間とコストのかかった本も珍しい。めちゃくちゃかかっている。本書は私の一五年におよぶ試行錯誤の果実だ。 これで一六〇〇円は安い! 農業をしたことがない人にも、「農業とはなんぞや」がわかるように、おもしろおかしく、そして、真剣に書いたつもりである。 1章では、スモールビジネスとしての百姓をやるにあたっての、考え方とその醍醐味を書いた。 これまでの働き方を見直し、どのような考え方でビジネスをすれば、快適に儲けることができるかを書いた。 2章は、さまざまな試行錯誤の末にあみ出した「スギヤマ式スモールビジネス」のコツが書いてある。 「誰でもあなたのように農業で成功できるわけない」と言う読者もいるだろう。 しかし、成功するために誰にでもできる確実なことが一つある。それは失敗である。小さな経営は失敗しても傷が浅い。失敗を活かすコツを学ぼう。 そうすれば、誰でも優れた経営者になることができるのだ。 3章は、農業をしてきて得た価値観とライフスタイルを綴ってみた。自然を相手に作物を育てることは、本当に多くのことを教えてくれる。 本書を農業書としてだけでなく、あらゆるスモールビジネスの参考にしていただきたい。 今後、小さな起業を考えているビジネスパーソンにとって、その成功術を解説するために、私のしてきた農業経営は好例といえるからだ。 さぁ、農というスモールビジネスでお宝をザクザク掘りに行こうか。