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沈黙の川 ダムと人権・環境問題 【書評再録】 | |||
●日本経済新聞評(1998年5月31日)=世界各地の大規模ダムが環境破壊につながる実態を報告、ダム建設にまつわる利権の構造を探る。開発と保護を巡る主張には異論もあろうが、ダム関係の詳細な資料は本質的な議論に役立つ。人間が自然を制御仕切れるか考える参考になろう。
●山と渓谷評(1998年9月号)=世界各国のダムサイトに足を運んだフィールド調査と、膨大な資料から河川開発の歴史と現状が詳細に綴られている。多くの先進国で大規模ダムの建設が遺物となりつつある現在、なおダム建設に熱をあげる日本人にこそ本書は読まれるべきだと著者は述べている。 ●週刊金曜日評(1999年3月26日号)=世界各地にこれまで造り続けられたダムで謳われてきた“ダムに頼る治水”や“灌漑”が、もはや破綻していることを教えてくれる。そして世界の先進国が、これまでのダム・築堤などによる洪水への「構造的アプローチ」を、洪水を封じ込めることなどは不可能であるとの前提に立って、“集水域管理”による「非構造的アプローチ」で洪水に対処しようと変身中であることをも示している。 ●地団研そくほう評(1998年12月1日号)=技術援助、経済援助の名の下に建設されたダムが本当に地域住人のために役立っているのか。また、ダム建設による環境問題がどの程度影響があるのかを、海外の事例を中心に、住民の立場から書かれている。 現在のODAのあり方や地域開発における地質屋の果たす役割の重要性を再認識する上で、一読を勧める一冊である。 | |||
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