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鳥類生態学入門 観察と研究のしかた 【内容紹介】本書「はじめに」より | |||
1975年に故羽田健三博士は、「野鳥の生態と観察」を監修し築地書館より上梓した。そのとき私も筆者の一人に加えていただいたが、早いものであれから20年以上が経過した。その間、この本は中・高校生のクラブ活動などの良き手引書になってきたと聞いている。 このたび、同じ出版社より「最近の鳥類生態学の進歩を取り入れ、あの本よりももう少しレベルの高い本を」という相談を受けた。そこで何人かの研究者に出版趣旨を説明して執筆を依頼した。執筆者の方々は快く引き受けてくれたばかりでなく、そのうちの幾人かの若手研究者は「大学院時代に、あの本が研究を進める上で大変参考になりました」ともいってくれた。そのようなわけで、前書が「種子」だとすると、本書はその種子から芽ぶいた「新芽」だともいえる。 本書は前書にならい鳥類生態の調べ方に力点をおいている。もっとも、方法論があって研究があるのではないことがもちろんだ。しかし、一通りの方法を知っておくことは研究の基本であり、研究を効率よく進める上でも大切なことであろう。 第1部の基礎編は中・高校生の自由研究から大学生の卒業研究に役立ててほしい。第2部の応用編は修士コースの大学院生から、最近増えてきたアセス関係で鳥の調査に携わる方々を読者対象とした。もちろん一般の鳥好きの人々にも広く読んでもらいたいことはいうまでもない。 本書は単に研究のための「手引書」にとどまることなく、鳥たちの暮らしを知るためにも、読んでみて楽しい本になるように工夫したつもりである。本書を読まれた若い読者が、鳥類生態学の「花」を将来咲かせてくれることを期待している。 | |||
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