はじめに
Chapter1 樹木という生き物
空を目指す樹木たち
世界で一番背の高い植物「セコイア」
樹木はどこまで伸び、いくつまで生きるのか
樹と木で「樹木」
「生きている樹」と「資材としての木」
維管束植物の構造
樹が歩き出す日――今の姿から樹の動く進化を想像する
映画に描かれた「動く樹木」たち
樹木が歩く日は来るのか?
樹形が意味するものとは――約五億年を貫く成長の仕組み
枝は頂芽優勢に従って伸びる
思考剪定という新しい樹木との向き合い方
イチョウからひもとく植物の誕生と進化
生命の誕生からイチョウの出現まで
イチョウは裸子植物
種子の中に秘められた進化の物語
アボカドの種子をコップで育てる
植物の種子と受精の仕組み
ヤシの木に見る、木質性単子葉植物の面白さ
単子葉植物の維管束
巨大な草のショクダイオオコンニャク
アオミドロから始まった植物たちの陸上進出記
「クチクラ層」で乾燥から身を守る
「フラボノイド」で紫外線を防御する
Chapter2 水と光合成と糖
生き物が甘いものを食べるワケ――糖とエネルギーの旅
糖の種類とその役割
エネルギーと生命活動の仕組み
植物が育つために必要な元素と、糖をつくり出す仕組み
三大肥料と植物の体づくり
光合成の仕組み
水は植物の中を上がる
蒸散と根圧と風
植物の中を上がる水のすごい性質
植物は「蒸散」で暑さを生き抜く
日陰の涼しさと風の涼しさ
蒸散を行う気孔の仕組み
気候と植物――バイオームに見る環境適応戦略
温度と降水量は植生をつくる
寒い地域で針葉樹が育つ理由
陸上全体の光合成――植物が織りなす地球の水循環
各生物圏の生産量
森林の重要性と水の循環
Chapter3 土の中の世界
土の中は分解の場――植物園で見つけた命の循環
「食べる」と「消化」の違い
炭素をストックする
木が土に還るとき――植物と分解者の知られざる物語
木を分解する菌たちの世界
セルロース目当てにやってくる虫たち
命がめぐる土――微生物と虫たちが生み出す豊かな土壌
落ち葉がつくる、命の循環
土をフカフカにする土壌生物たち
無肥料でも成長する樹木の秘密――自然の栄養供給システム
森林の自己施肥機能
土壌の団粒構造と栄養の保持
根は語る――土の中の知られざる営み
根は根園へ栄養類を提供する
根と共生菌は二人三脚
根っこから見る植物の意思とたくましさ
鉢栽培と根の成長
根の構造と植物を支える力学的仕組み
Chapter4 植物を守る
植物園の病虫害事情
鳥が棲むところは毛虫が大発生しにくい
人工的な環境にひそむ病虫害の連鎖
進行するカシノナガキクイムシの脅威
カシノガキクイムシとナラ枯れ
手間に比例するカシナガ対策
日常にひそむ生き物から地域の生態系を考える
植物園に来る野生の動物たち
植物園における野生動物との共存と未来
枯れゆく樹木と向き合って――樹木の命の循環
樹勢回復を願って行う土壌改良
形成層が生きている限り諦めない
樹の中を流れるものに意識を向ける――樹液が支える樹木の命
樹液に意識を向けることの意味
樹木内部の樹液から感じる生命の息吹
Chapter5 植物園管理人の日常
栽培展示は圃場栽培と一体で――自然の摂理と植物の声
混合用土作成とストックに力を入れる
鉢栽培は環境の選択が鍵
情熱が咲かせる花――植物の命を繋ぐ人たち
バラの地位を確立したジョゼフィーヌ
規格外の植物と、それを支える人の力
持続可能な園地管理を自然のタイムスケールから考える
「理解」から始まるSDGs
園地の現状維持とは植生遷移を止めること
樹種判別とは植物の名前を探すこと
樹種判別の基本は押し葉作成
植物の「学名」の存在意義とは
野菜を植物として栽培展示する
今ある野菜は祖先たちからの贈り物
植物園における野菜栽培の目的と重要性
Chapter6 樹木の管理術
ロープを使って樹に登る
ボルダリングで知った登る動作
ツリークライミングが樹登りの幅を広げた
自然風剪定とは何か――自然界から出された課題
自然風剪定を目標と定める
経験を重ねて見えてくるもの
大枝おろし――枝の重みと向き合う
太い枝はいずれ折れる
大枝おろしに潜む危険と経験で得た対処法
チェーンソーの刃を目立てる
チェーンソーの構造と進化の歩み
仕事の出来は目立てで決まる
枝はノコギリを挟み、切れた枝はこっちへ向かってくる
挟まれない切り方を模索
対峙して感じる樹の命
樹はしなやかに曲がる――風に耐え、登る人の命を預かる
枝のしなりを利用する
動物たちの振る舞いをヒントに
キノボリストであり続けたい
樹登りの技術と安全のための工夫
安全なキノボリストになるための四カ条
Chapter7 人と植物の関わり
生垣と自然樹形――フクギに見る樹木特性を生かした利用
沖縄県のフクギの生垣
生垣も自然樹形へと戻りたがる
植物を運んできた人たち
海の向こうからやってきた野菜
生きた植物を運ぶ
木材運搬の歴史――鉄砲堰から現代の物流まで
水を使って木を運ぶ
その木材が育った場所の二酸化炭素と水と光を運ぶ
生態系サービスという発想――自然の機能に市場価値を追加
植生遷移は簡単に止められない
地球は生態系の自己修復機能に守られている
栽培員だからこそ知っている植物の楽しみ方
植物の面白さを積極的に探す
植物への理解と感性を育む
木材は水を通さない――舟、桶、江戸の水道管
木材が暮らしで重宝されてきた理由
リグニンは水を通さない
燃える木と人類の進化
燃焼のメカニズムと野火
燃えるものから文明へ
おわりに
参考文献・資料
引用文献
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