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炭坑美人 闇を灯す女たち

【書評再録】


●朝日新聞「著者に会いたい」欄(2000年12月3日)=「地の底の女たち」の豊かさ
若かりし昔「地の底」で働いたおばあちゃんたちの証言を、5年かけて集めた。
炭鉱で働いた強烈な記憶は、忘れようがない。生き生きと語り、苦労を笑い飛ばす。その一瞬をカメラに収めた。しわを刻んだ「美人」たちの表情がいい。

●毎日新聞評(2000年12月10日)=〈お婆ちゃんの笑顔に、私は一気に吸い込まれてしまいました〉
フォトジャーナリストによる筑豊の元女性炭坑労働者たちへの聞き書きとポートレート集。

●日本経済新聞「あとがきのあと」欄(2000年11月19日)=地の底の記憶に勇気見た。
福岡県の筑豊炭田で苛酷な労働に耐えてきた老齢の女性たち46人に取材し、生々しい体験談を1冊にまとめた。
「健康を損なうほど厳しい労働を強いられた過去を持ちながら、おばあちゃんたちは皆、底抜けに明るかった。あまりにも安易に犯罪に走ったり自殺したりする今の子供たちに聞かせたかった」

●西日本新聞評(2000年12月3日)=福岡県・筑豊の地で女坑夫として苛酷な労働を経ながらも、たくましく自身の人生を生きてきたおばあちゃん46人の聞き書きとポートレートだ。
働く苦しさと喜び、悲惨とユーモアが、生き生きとした筑豊方言の語りに交錯する。
今こうした世の中だからこそ「生きる」ことの意味をあらためて問いかける。

●中日新聞「私の3冊」(2000年12月24日)=彼女たちの写真を見ると、実にいい顔をしている。それに彼女たちが語る言葉も素晴らしく、読む者を元気にしてくれる。

●本の雑誌「2000年度 私のベスト3」黒田信一氏のベスト1(2001年1月号)=載せられているお婆ちゃんたちの、吸い込まれるように美しく、圧倒されるまでに堂々とした笑顔をみごとに切り取った写真を見るだけでも手に取る価値がある。加えて、筑豊の方言で語られたお婆ちゃんたちそれぞれの一代記から立ちあがる、生きてきた時間への絶対の自信。女としてあることの誇り。よかった。しみじみと。

●サンデー毎日評(2000年10月29日号)=日本近代化の原動力を担った筑豊炭田。苛酷な労働、極限の生活……殺伐とした炭鉱社会の中で、時として男以上に働き、男の世界を支えてきた女性炭坑労働者たちがあった。底抜けに明るくたくましい46人の元炭坑婦のお婆ちゃんが語る人生とは。

●朝日カメラ「BOOK interview」=男の坑夫たちと同様に過酷な環境で働いた女坑夫たちの生きざまを、底抜けに明るい笑顔と語り口で構成した。
---シンプルな黒のバック地にみんな笑顔ですね。
「笑顔しか撮らないと最初から決めていました。真剣に働いてきた人間が作る顔の凄さですね。」文章を書くことも抵抗がなかったですね。なによりも話が面白く、写真だけじゃもったいない。苛酷な労働をさりげなく、明るく語れる。それは何なのか。そこに働いてきたことの意味というか、人生の意味を感じたわけです。」

●読書人評(2000年11月17日)=本書は不思議に明るい。彼女たちが人生を肯定的に捉えているからだろう。読者もまた人間肯定の解放感とともにページを閉じるだろう。

●週刊金曜日評(2000年11月17日号)=本書は、昔坑内に下がって働いてこられた元女坑夫のお婆ちゃんたちのポートレート写真と聞き書きによって成り立っています。
死と隣り合わせの最も苛酷な労働を経て自らの壮絶な人生を語るお婆ちゃんたちの話は、人間が働くということや人と人が関係するということはどういうことなのか、人間にとって大切なことは何なのかをもう一度気づかせてくれる小さな灯火に思える。
本書を手にされたなら、きっとその世界に吸い込まれ、勇気づけられることと思います。

●日刊ゲンダイ評(2000年11月22日)=筑豊地方で男に交じって坑内労働に従事していた元炭坑婦たちの半生を聞き書きした証言集。
想像を絶するような人生が、46人分並ぶ。しかし、添えられたポートレートの彼女たちの表情には、悲そう感や屈託はみじんも感じられない。その笑顔は、苛酷な労働や極貧の生活を生き抜いてきた誇りに満ち、神々しささえ感じられる。
日本の繁栄を底辺で支えてきた無名の女性たちにスポットライトを当てた労作だ。

●週刊プレイボーイ評(2000年12月12日号)=厳しかったかつての生活を、明るく話すお婆ちゃんたちの笑顔と言葉は、私たちに何かを教えてくれる。
(本書に収録されたポートレート7枚も2ページにわたって紹介。)

●日本ジャーナリスト会議評(2001年)=半世紀前の日本の真実の姿を語る貴重な証言集である。
語られる内容は暗く重いが、お婆ちゃんたちの語り口はめっぽう明るく、人間としての豊かさに満ちている。

●ふぇみん評(2000年11月5日号)=男と共に長時間、苛酷な労働を担った筑豊の女たち。5年間の聞き書きとポートレートをつうじて私たちの前にあらわれる彼女たちの圧倒的な存在感。頻発した落盤やガス爆発の中での「いつ共死」するかの瀬戸際での労働。そして戦争中には、強制連行され虐待の中、病気でも強制入坑させられた朝鮮の人たち。そんな「60過ぎのお爺ちゃんの姿を思い出すと、今でも涙が出るんたい」の言葉がつたえる暖かさが胸にささる。

●母の友評(2001年1月号)=筑豊炭坑の元女坑夫達46人への丁寧な聞き書きと彼女達の表情豊かなポートレートがこの本には詰まっている。その労苦のすさまじさと、しかしそこを突き抜ける明るさをじっくり味わいたい。

●くらしと教育をつなぐWe評「山根雅子氏・フリーライター」(2000年2/3月号)=この生ぬるい日本の現実からは想像を絶する苦労も、常世の不条理、理不尽さも、頭でっかちの理論やイデオロギーも、すべて笑い飛ばしているようなお婆ちゃんたちの笑顔を見ていると、「この人、どんな人生だったんやろ」と、思わず彼女らの語りへ引き込まれてしまう。
何はともあれ痛快で楽しい。「生きることってそうなのね」とつぶやいてしまう。筑豊の方言のままに綴った聞き書きは、苦労話も辛辣な批判もきわどい表現もやわらかくはずむ。深く幾重にも刻まれた皴には人生の辛酸も苦楽もたたみこまれているようで、ゆるぎない存在感がある。得も言われぬ味がある「いい顔」なのだ。「いい顔」が少なくなったこの頃(と私は思う)、よく生きた人間の顔を見せてくれる一冊である。

●赤旗「本と人と」欄(2000年11月6日)=約5年間、福岡県の筑豊炭田で100人近い女性を取材し、46人の写真と聞き書きを一冊の本にまとめました。炭坑事故で夫を失い、貧困の中で子どもを亡くし……方言で語られる人生は壮絶です。
「この国はどこへ向かっていくんだろうと不安になる人は少なくないと思います。そんなとき、あれだけ労働災害が起きたなかで助け合い、力強く生きたおばあちゃんたちの生の言葉を現代の人たちに伝えたかったんです」

●聖教新聞評(2000年10月25日)=基幹産業を文字通り“地の底”で支えてきた女性たち46人からの聞き書き集。“命と交換するような日々が懐かしい”とさえ語る明るさが、生きることの重さを教える。
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