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朝鮮の酒

【内容紹介】本書「まえがき」より


 最近、朝鮮の食の科学と文化について執筆したり、話したりする機会が多くなってきた。
 そのためか、あるいは朝鮮、韓国への関心の高まりのためか、酒に関心を持っておられる方々から、「朝鮮の酒」について知りたいとの要望が多い。
 旅や観光に出かけるのだが、その参考にと聞かれることも多く、専門分野の方から学問的な質問や問い合わせを受けることもある。
 人間の生活の知恵の結晶ともいうべき食べもの文化、なかでも酒の文化には、それぞれの民族、地域なりの特色がみられ“楽しい”ものである。
 日本の隣にありながら朝鮮の酒はあんがい知られていない。せいぜい「濁った酒、マッカリ(正確にはマッコルリ)」で代表されるものと受け取られる向きがほとんどである。
 朝鮮には酒の種類が多くあった。それが20世紀になってから「人為的」に消えていったわけである。酒を愛する私の気持ちからしても惜しみてあまりあるものだ。
 また朝鮮と日本は酒の文化からみても古代からのかかわりが深い。日本酒が素晴らしいものであるだけに、その日本酒が中国大陸や朝鮮半島の文化とかかわっていることに気がつかないのが現状だろう。
 朝鮮の酒は中国大陸の流れを汲んだものであることは、そのつくり方、名称からもはっきりしている。
 日本の酒も、それひとつだけをみるのではなく、朝鮮や中国のそれと比較してこそ、その良さと文化の共通性がわかろうというものである。
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