はじめに

第１章　はじめてのオーガニック・ローズ
　　　　――米ぬかオーガニックＱ＆Ａ

17年間、無農薬でバラを育てた経験から、
気軽にオーガニック・ローズを楽しむための方法を紹介します。

●●バラを選ぼう
どんなバラを植えるといいの？
　　私の庭で育つ、丈夫で旺盛なバラの系統
育てる場所は？
　　日照条件がやや不十分でも旺盛に育つわが家のバラたち
バラにはどんな種類がある？
　　咲き方で分けると
　　樹形で分けると
苗の選び方は？
　　大苗
　　鉢苗
　　新苗

●●鉢に植えてみよう
鉢植えの場合の植え方は？
　　用土の準備
　　鉢植えの植え方
　　冬の鉢替え
　　植えつけ・植え替えＱ＆Ａ

●●庭にも植えてみよう
地植えの場合の植え方は？
　　地植えの植え方
　　米ぬかまきと有機物マルチによる土づくりのやり方
　　米ぬかまきと有機物マルチで生きている土づくり
　　米ぬかまきと有機物マルチＱ＆Ａ

●●丈夫に育てよう
水やりはどうしたらいい？
　　自動灌水装置の選び方・使い方のポイント
肥料はどんなものを？
剪定や誘引は？
　　四季咲きのバラは、切れば咲く
　　一季咲きのバラは、切ったら咲かない
　　半つる性のバラは、自由に育てられる
　　秋の剪定
　　２月に枝を横に倒せば、たくさん花が咲く
　　剪定・誘引の実例
バラは、薬剤散布しないと病気にかかりやすい？
　　うどんこ病
　　黒点病
虫対策は？
　　アブラムシ
　　テントウムシ
　　ヒラタアブ
　　アブラバチ
　　クサカゲロウ
　　クロケシツブチョッキリ（バラゾウムシ）
　　ハナグモ
　　ホソオビアシブトクチバ
　　イモムシたち
　　チュウレンジバチ
　　コアシナガバチ
　　シジュウカラ
　　カマキリ
　　コガネムシ
　　ゴマダラカミキリ
　　ハダニ
　　カイガラムシ
　　ナメクジ

●●ステップアップ
堆肥の段ボール発酵のやり方
発酵肥料のつくり方�@　発酵米ぬかをつくる
発酵米ぬかＱ＆Ａ
発酵肥料のつくり方�A　発酵肥料をつくる
発酵肥料の配合例
発酵肥料の使い方
発酵肥料Ｑ＆Ａ


第２章　オーガニックで育てやすいバラ35種

日照があまり十分ではない住宅地の小さな庭でも
育てやすいと思われる丈夫なバラの中から、
庭での演出に効果があると思えるものを紹介します。
すべて、私がオーガニックで育てているバラたちです。

鉢植えで育てているバラ
　　スキャボロー・フェア
　　ダーシー・バッセル
　　サー・ジョン・ベッジャマン
　　ウエッジウッド・ローズ
　　キュー・ガーデン
　　レディー・オブ・シャーロット
　　レディー・エマ・ハミルトン
　　アラン・ティッチマーシュ
　　ジェントル・ハーマイオニー
　　ペッシュ・ボンボン
　　ブリーズ
　　ローズ・ポンパドゥール
　　ボルデュール・アブリコ
　　ジェネラシオン・ジャルダン
　　フラウ・ホレ
　　コスモス
　　アンダー・ザ・ローズ
　　ブノワ・マジメル
　　ベラドンナ
　　ピエール・ドゥ・ロンサール
　　ピンク・サクリーナ
　　ボレロ

フェンスやトレリスに沿わせるバラ
　　コーネリア
　　プロスペリティ
　　アルベルティーヌ
　　スノー・グース
　　マダム・ルイ・レヴェーク
　　ジプシー・ボーイ
　　グロワール・ドゥ・ディジョン
　　ブラッシュ・ノワゼット
　　クレパスキュール
　　アリスター・ステラ・グレー

家の壁面に誘引する・樹木にからめる
　　ロココ
　　マダム・アルフレッドゥ・キャリエール
　　トレジャー・トローヴ

イングリッシュローズの最新品種を育ててみて
アーチに向くバラは？
系統で選ぶオーガニック・ローズ
作出者（社）で選ぶオーガニック・ローズ


第３章　オーガニック・ローズと一緒に楽しむ草花
　　　　――オーガニックなバラ庭は、植栽を多様に

オーガニックなバラ庭は生き物たちの楽園です。
バラとともに、宿根草や球根花、ハーブ、樹木などいろいろな植物があると、
バラ以外の季節も庭を楽しめ、生き物たちの種類も豊富になります。
そんな私の庭のさまざまな植物たちを季節を追って紹介します。

冬庭の華やぎ　クリスマスローズ・ガーデンハイブリッド

早春に咲く小球根花
　　スノードロップ
　　シラー・チューベルゲニアナ
　　チオノドクサ
　　スイセン／タリア、ピピット
　　ハナニラ
　　ムスカリ
　　原種チューリップ／レディ・ジェーン

早春の香りのベール　クレマチス・アーマンディー・アップルブロッサム

春からずっと庭の名わき役 リーフ・プランツ
　　ホスタ（ギボウシ）
　　ツボサンゴ
　　ティアレラ

初夏、バラ庭をロマンチックに彩る宿根草
　　クレマチス
　　ジギタリス
　　デルフィニューム
　　セージ
　　セダム類

無農薬だから安心バラと一緒に楽しむハーブやベリー
　　レモンバーム
　　イタリアンパセリ
　　バジル
　　タイム
　　ミント
　　シソ
　　ラズベリー
　　ヒメリンゴ
　　ワイルドストロベリー

庭の季節感を演出する樹木たち
　　ミモザアカシア
　　黄金葉のヤマブキ
　　カシワバアジサイ
　　ヤマアジサイ
　　アメリカノリノキ／アナベル
　　ハリエンジュ（ニセアカシア）／フリーシア
　　シラカバ／ジャクモンティー
　　トウカエデ／花散里

生ごみを使った土の再生
カセット式宿根草花壇


はじめてのオーガニック・ローズ12カ月（栽培カレンダー）
資材の入手方法

おわりに

●バラはあこがれ
　はじめて私の庭で大輪の赤いバラが咲いた初夏のある日、深い色合いと香りに心から癒されたのを覚えています。そんなたった一本のバラとの出会いから17年がたち、今や、５月には満開のバラに囲まれる暮らしです。
「バラの庭はとても素敵だけど、世話が大変でしょう」とよく聞かれますが、私は、月に一、二度、週末にまとまった庭仕事をする程度。庭仕事で忙しいのは、冬場の剪定・誘引のときくらいです。
　どうして、その程度でバラ庭が維持できるのか……それは、オーガニックでやっているからだと思っています。オーガニックですから、もちろん農薬散布の手間はいっさいありません。虫の被害は、庭に訪れる鳥や虫にまかせておけば、目くじらを立てるほどのこともありません。土づくりは、土にすむ微生物やミミズにおまかせ。庭の微生物（善玉菌）は、バラを病気から守ってくれてもいるようです。
　バラは、本来とても丈夫な植物です。多少の病気や虫の害で、枯れてしまうことはありません。たとえ虫食いの跡があったとしても、それを受け入れる心のゆとりも、オーガニックでバラ庭づくりを続けるうちに自然と身についてしまいました。


●オーガニック・ローズは気楽に、気軽に
　どうすれば、オーガニックで簡単にバラ庭を維持することができるのでしょう。
　オーガニック・ローズを育てるために一番大切なことは、じつはとてもシンプルなのです。
　鉢植えなら、白い根が鉢いっぱいに張るようにバラを育てること。
　地植えなら、耕さずに米ぬかをまいて土を有機物で覆うことで、ふかふかな土づくりをすること。
　最初からオーガニック栽培向きの丈夫なバラを選び、このふたつがうまくできれば、はじめての方でも、ご自分の庭やベランダで、オーガニック・ローズの豊かな色や形、そして香りを楽しむこともけっして夢ではないでしょう。
　そのためのノウハウを、はじめて無農薬でバラを育てる方へ、ひと鉢のバラを植えるところから、バラと花々でいっぱいの庭づくりまで、わかりやすくていねいにお話ししたいと思います。


●「米ぬかオーガニック」って？
　私は、インターネットでつながった全国のオーガニック・ローズ仲間たちと、長年にわたって無農薬でのバラ栽培を模索してきました。その結果たどりついた方法や考え方を「米ぬかオーガニック」と呼んでいます。（仲間たちの実践については、『バラはだんぜん無農薬〜9人9通りの米ぬかオーガニック』に詳しく紹介しています。）
　日本人なら誰でも知っている米ぬかは、栄養が豊富なので、堆肥づくりやぼかし肥料づくりのときに、農業や園芸で以前から使われてきました。
　この米ぬかを使って、庭の善玉菌を元気にし、バラが健康に育つ土づくりをしようというのが「米ぬかオーガニック」のそもそもの考え方です。でも、ただバラづくりや庭づくりに米ぬかを使えば「米ぬかオーガニック」なのかというと、そういうわけでもありません。「米ぬかオーガニック」は、庭主がほんの少しお手伝いをするだけで、バラも庭のほかの草花も樹木も、虫もほかの生き物も微生物もみんなひっくるめて、多様で循環しつづけるひとつの調和した世界をつくっていくことを目指しています。
「そんなこと、ほんとうにできるの？」と、とても難しいことのように感じる方もいらっしゃるでしょう。


●本書の使い方
　そこで、第１章ではまず、シンプルで誰にでもすぐにできる基本的な作業について解説し、「米ぬかオーガニック」に関するちょっと特別な作業については、「ステップアップ」として分けることにしました。まず、バラ育ての基本的なことをしっかり理解してやってみるだけでも、バラはきっときれいに咲いてくれるでしょう。
　そして、バラ育てに少し慣れたら、できそうなところから「ステップアップ」してみてください。きっとさらにバラ庭の楽しみが広がることと思います。
　また、『無農薬でバラ庭を〜米ぬかオーガニック12カ月』を読んで、私のホームページの掲示板に寄せられたたくさんの質問をもとに、実践的な内容を豊富にもりこんだ、Ｑ＆Ａのページも設けました。
「米ぬかオーガニック」の実際の作業やアプローチの仕方には、本書で紹介する以外にも、いろいろな方法があります。『無農薬でバラ庭を』『バラはだんぜん無農薬』に、さまざまな取り組みを紹介しています。自分の庭に合った栽培法を見つけるための手がかりにしてください。
　気がついたら、すっかり「米ぬかオーガニック」の楽しさに夢中になっていた……ということがあるようでしたら幸いです。

　第２章では、私の庭で育っているオーガニック・ローズの中から、丈夫で育てやすい品種を35種紹介しています。特にはじめての方でも育てやすいと思われる品種には、初心者マークをつけてみました。
　バラの名前、咲き方（四季咲き、返り咲き、一季咲き）、樹形（木立性、半つる性、つる性）、庭の中での用途（鉢植え、アーチやフェンス、壁面に沿わせるなど）とともに、オーガニックで育てるときのポイント、育ててみての感想などを掲載してあります。オーガニックでバラを育てるには、丈夫なバラを選ぶことがたいへん重要ですので、是非参考にしてください。

　さらに第３章では、私がバラと一緒に植えて楽しんでいる植物を紹介しています。オーガニックでバラ庭を維持するには、バラだけではなくほかの植物も一緒に育てることが大切なのです。草花や樹木は、バラが咲いていない時期も庭を彩ってくれるだけでなく、多種多様な生き物を庭に呼びこみます。小さな庭にやって来るさまざまな虫や鳥たちは、おのずとバランスをとり、バラへの虫の害を軽減してくれます。そして、バラ庭の楽しみを大きく広げてくれるのです。
　本書が、みなさまの気軽で楽しいバラとの暮らしに少しでも役立つことができればと願っています。