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流域一貫
森と川と人のつながりを求めて

著者……中村太士 →→著者略歴と主要著訳書
2400円 A5判 138頁 1999年7月発行

21世紀に求められる流域管理、流砂景管理、集水域管理、景域管理の指針を示す待望の書き下ろし。
北アメリカ、ヨーロッパ、中国、北海道の釧路湿原などの先進事例、調査事例を紹介しながら、森林、河川、農地、宅地と分断された河川流域管理をつなぎ直すために、総合的な土地利用のあり方を提言する。

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【主要目次】
第1章・環境問題---その主体と議論のあいまいさ
  1. 環境の主体は何か(主体を明確に/2つの問題)
  2. 機能しなくなった現行のシステム(各分野に変化が/日本の文化に合った川づくりへ)
  3. 生態学は環境問題を解決できるか(社会的期待と要請/生物多様性で地域問題が解決できるか/地域からの出発)
第2章・流域保全に関する制度と技術---現状と課題
  1. 治水三法(低水工事から高水工事へ/省益は国益ならず)
  2. 保安林(17種類に分けられた保安林/単一機能論の落とし穴)
  3. 保全計画における時間の概念(確率概念/流域における土砂生産と流送の不連続性/環境保全計画)
第3章・森と川と人のつながりの変化
  1. 釧路湿原の事例(釧路湿原の概況/流域土地利用の変化/微細土砂流入の実態/河床の上昇と濁水の氾濫/セシウムによる土砂堆積の検証/湿原植生への影響/まとめ)
  2. 問寒別川流域の事例(洪水流量の増加/水辺環境の変化/まとめ)
第4章・新たなつながりの模索
  1. アメリカ合衆国における森林河川管理(原生林と絶滅の恐れのある種/河川環境に与える水辺林の影響とその保護/New Forestryをめぐる論争)
  2. スイス・ドイツにおける近自然河川工法(最初の疑問/補償・代償の考え方/土地利用との関連/工法的特徴/科学的根拠)
  3. 中国の総合治理(黄土高原の概要/黄家二岔小流域における土壌侵食と保全事業/総合治理)
  4. 日本の総合治水(都市型水害と総合治水/総合治水事業と流出抑制施設/伏籠川における流出抑制施設の役割/流域環境整備における流出抑制施設の役割)
結論・新たな視点
  1. 動的立地環境(物質の移動と流路の変動/渓畔域の地形と渓畔林/河川生態系維持のために)
  2. 物質の流れと生物生息場環境(景観生態学とは何か/物質の流れと生物生息場環境/on-siteの発想からoff-siteの発想へ/景観管理計画をめざして)
  3. 予測不可能な生態系の応答を前提とした管理(Adaptive management(適応可能な管理)とは/アメリカ合衆国におけるadaptive managementの事例/コロンビア川サケ科魚類保護の問題)
  4. 法的整備(日本の特殊性/ドイツの自然保護法/地方分権と中央集権)
  5. 情報公開と政策提案・決定機関の分離(不信はどこからくるのか/政策提案と決定機関の分離/責任の所在)
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