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熱帯雨林の動物たち ボルネオにその生態を追う

【書評再録】


●朝日新聞評(1991年7月14日)=ボルネオ島の哺乳類全般について書かれた日本で最初の本。すべて著者の直接観察によるものだけに、叙述は生き生きとし、ダニまみれで、「かゆい所に手のとどかぬ」センザンコウの話など、興味ある生態が楽しい。幻の動物ボルネオヤマネコの話は探検心をそそる。

●読売新聞評(1991年6月3日)=赤道直下の島ボルネオ。その地を訪ね、川で、村で、里で、そして森で出会った哺乳動物たちを紹介する。オランウータン、カニクイザル、マレーヒヨケザル、オオアカムササビ、スローロリス……など、自然のままの美しい姿を見せてくれる野生動物たちとの一期一会。カメラがとらえた多種多様な彼らの姿に、熱帯雨林の持つ魅力を再認識せずにいられない。

●京都新聞評(1991年5月31日)=日本全土の二倍。赤道上に広がる熱帯雨林の島、ボルネオ。マレーシア、ブルネイ、インドネシアの三国からなる同島の哺乳動物の全容を、数多くの写真とともに紹介した懇切丁寧なボルネオ野生動物ガイドブックだ。
熱帯雨林の特徴は、種の多様性にある。同島では228種の哺乳動物が確認されているが、本書では動物生態学者の著者が川で、村里で、森で実際に出合ったニシメガネザルやジャワジャコウネコなどの動物を中心に、その詳細な観察記録が、気候風土の様子を交えながら記述されている。
冷静で厳密な研究報告だが、その文脈には不思議な詩情がゆっくりと流れる。

●北海道新聞評(1991年5月19日)=本書は、著者が五年前から始めたブキット・スハルト保護林などでの哺乳動物調査の様子を報告しながら、熱帯雨林とそこに住む生き物たちの魅力を紹介している。150メートルも滑空するマレーヒヨケザル、「おばけ」と呼ばれているメガネザル、水浴の大好きなヤマネコたち。自然と住民感情を尊重した調査ぶりにも教えられる。

●アニマ評(1991年8月号)=アジア最大の熱帯雨林を有するボルネオに生息する哺乳動物について、豊富なフィールドワークをもとに書かれた一冊。またボルネオ島の自然全般を知るうえでも役に立つ内容となっている。

●バーダー評(1991年8月号)=ボルネオ島の哺乳類全般について書かれた、日本で最初の本である。しかし、専門家のためのテキストブックではなく、広く一般の人びとに読みやすいようにと、動物にとどまらず、可能なかぎりさまざまなことが紹介されている。また、著者自身のエピソードも多く盛り込まれていて、読み物としても楽しい。旅行の参考となる情報も盛り込まれた、充実した内容。

●科学新聞評(1991年10月25日)=ボルネオ島の哺乳動物全般について書かれた、日本で最初の本である。しかし、専門家のための単なるテキストブックではない。一般の人びとにも読めるように、動物だけでなく、できるかぎりさまざまなことが紹介されている。本書はガイドブックではないから、どこへ行けば何々があるといったことは述べられていない。しかし旅行の手助けとなるような情報は、各所に盛られている。
誰にでも気軽に読める興味深い本である。
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