小山内龍(おさない りゅう)略歴
著者小山内龍なるものは、本名澤田鉄三郎といい、明治37年函館に生まれた。私の父親である。名の示す通り、三男であり、三男二女の末子であった。
筆名小山内は母方の姓。龍の方はおそらく自分の干支によるものと思われる。
函館で高等小学校を終えたのち、様々の職を転々とし、後年漫画家として糊口をしのぐに至る。
最初の勤め先は下駄屋であったそうだ。が、主人夫婦が夜逃げをし、父は銀貨一枚手にして、狐につままれたような顔をして戻ってきたと伯母が話してくれたことがある。それから船員等いろんな職につく。
「私が故郷を後にして東京へ発った動機には思想的なものが多くあった」と、父は日記に書き残している。動機はどうあれ、富家に嫁した次姉のハンドバッグを持ち出しての出奔であった。後に伯母にこの話を聞かされて、息子の私は大いに肩身の狭い思いをしたものだ(この一家、次男も出奔し、家に残った長男、つまり私の伯父だが、この人もいつかこう言った。「鉄に先をこされた」と)。
上京後はニコヨンをしながら、絵を独習し、昭和7年漫画集団に入る。ここからが小山内龍の出発だ。(「あとがき」より)
主な著書
昆虫放談」(築地書館)。

昆虫放談の表紙画像
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