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ボランティアの世界 私が変わる 社会が変わる

【内容紹介】●本書「はじめに」より


 21世紀への扉が開こうとしているいま、新しい時代に向けて日本社会は「人間としての豊かさ」を求め、成熟した市民社会をつくりだしていくことが求められている。そのためにも私たちは、市民社会の担い手としてのボランティアとその活動のあり方、さらにNPOと呼ばれる非営利市民活動のあり方について、いま一度考えを深めてみる必要があるのではないだろうか。
 発達し続ける高度な科学技術による恩恵、それによって生み出される生活の利便性が高まれば高まるほど、私たちの生活意識は安易な方向へと流れる。自分の力で生活を切り開こうとする意識より、他の力に依存する意識が強くなっていく。少子社会といわれる日本でも、この傾向に拍車がかかり、子どもの育つ過程で親も社会も過剰に保護する傾向が強くなり、子どもたちが依存性の強い育ち方をしてしまう恐れがある。
 子どもたちは21世紀を主役として担う。この子どもの課題についても、ボランティアの角度から真剣に考えておく必要がある。なぜなら、ボランティアとは自発的、主体的な生き方であり、新しい時代の子どもたちの課題は自立性に満ちた生き方と他者との連帯性を大切にする生き方こそがテーマとなるにちがいない、と思うからである。
 ある意味で、20世紀は効率を重んじ、強大さを重んじる産業主義、科学合理主義優先の時代であったと総括することもできよう。しかし私たちは21世紀を、際限なく科学の進歩に身をゆだね、経済のあり方もすべて市場原理・合理性を優先させるあり方から、合理性では割り切れない人間性を探究する時代、強さよりもむしろ弱さがかえりみられ、人と人が支え合い、自然と人とが共生していく時代にする必要があるのではないだろうか。つまり、人間としての弱さを互いに認め合い、そのうえで共に支え合う関係をつくりだしていくという社会的テーマが「ボランティア」なのである。
 不透明な時代に向かって生きる私たちが、「どのような社会をつくりだしたいのか」を問い続けながら着実な歩みを進めるボランティアの世界に身を置き、「私が変わり、社会が変わる」喜びを共に味わいたいと心から願っている。
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