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プロも知らない
「新築」のコワサ教えます

【書評再録】


●毎日新聞「家庭欄」評(1998年4月26日)=東京・五反田の建築家、辻垣さんの事務所に先日、ゼネコンの技術系社員が訪れた。「わが家を建てかえてほしい」。自社系列の建築家に頼めば便宜も図ってくれるだろうになぜ。
消費・環境問題評論家の船瀬さんは出版ほやほやの『プロも知らない「新築」のコワサ教えます』で、こう指摘する。
床、壁材などの合板、フローリングの接着剤には防かび剤としてホルムアルデヒドが含まれる。塩化ビニールの壁紙は安定剤とか難燃材、着色料を練り込んでいる。畳には防ダニ剤、土台にはシロアリ駆除剤がたっぷり使われる。いずれも有機リン系農薬や揮発性有機化合物。
これらの化学物質が蒸散して、目の異常からアレルギー、果ては神経系にさまざまな不調、病気をもたらす。新築の家ほど揮発量は多い。だから「新築病」の名がついた。引っ越しうつ病もこれではないかとの疑問が高まっている。発がんの不安もある。中古住宅やマンションのリフォームも、せっかく薄まった化学物質をまた揮発させるきっかけになる。また、新畳で赤ちゃんをはいはいさせるのは危険なことである。

●週刊金曜日評(1998年7月3日)=ホルムアルデヒド、フタル酸化合物……新築家庭には「シックハウス症候群」の原因物質がいっぱい。家を持つ前の必読書。

●日刊ゲンダイ評(1998年4月29日)=壁紙から出るフタル酸化合物、塗料から出る有機溶剤群など危険な化学物質を含む住宅建材を徹底追及している。住宅展示場に行く前にぜひ本書を読みたい。

●宝石評(1998年6月号)=“シックハウス症候群”なる言葉をご存じだろうか。これは、住宅汚染により発生する頭痛、吐き気などの諸症状を指すものだ。驚くべきことに住宅には、神経毒性、発ガン性のある有害物質が多用されている。本書は、その汚染の状況が畳、床材、など箇所別にまとめられ、住環境に興味のある人だけでなく、建築家、工務店など住宅のプロたちにも必携の一冊。

●教育新聞評(1998年6月29日)=本書は、ホルムアルデヒドなどの化学物質の危険性を取り上げているほか、自然素材や環境と住む人を配慮した家の在り方についても提言。ソーラー発電や省エネ住宅、生ごみ対策のコンポストなどの例を取り上げている。
なお、自分の家が化学物質などの危険性が高いと感じたときの相談窓口も紹介されている。相談窓口には民間の室内汚染物質測定機関、市民ネットワーク、公的相談・法律相談など。
授業で環境問題を取り上げる際、子どもたちの素朴な疑問に答えるために教師があらかじめ読んでおきたい一冊だ。

●建築知識評(1998年7月号)=いまはやりの「健康住宅」を扱った1冊である。この類の書籍の数は非常に多く、ここ2〜3年で出されたものだけでも40冊を超えるという。これらに共通する特徴は、建築の素人が同じく素人に向けて書いている点にあり、生活者の視点から書かれているところは評価したい。
本書もこうした性格から外れるものではないが、建材のガイドブックに徹している点は類書の中でも際立っているといえる。資料の入手先や取材先の設計事務所、建材メーカーなどはすべて電話番号を記載してあるところなどにもこうした姿勢はよく現われている。
一般ユーザーにこうした建材情報に関心をもってもらうための入門書としては、まずまずだろう。
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