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宮沢賢治 農民の地学者

【内容紹介】本書「兄賢治とこの本……宮沢清六氏」より


 今年の9月20日には賢治の42年忌の記念講演会が花巻農業高校で開かれた。その時に「地質学者としての宮沢賢治」という演題の講演を宮城さんにお願いしたが、専門的でむずかしい事柄もわかり易く話されて、生徒も深い感銘を受けたと言っていた。
 その講演もいろいろの資料といっしょに活字となって、ここに出版されることとなり、賢治の作品の中で語注だけでは何としてもよく解らなかった専門のことが、明快に解説されることは有難いことである。
 そして生前に賢治が説明しなかった科学や宗教や児童観など、また、やりかねた未完成のことなどを、これから研究したり出版したりする人たちに、この本はいろいろ示唆を与えることになるだろうし、大地を愛し、永遠につながる宇宙観を持たれる若い人たちの愛蔵本となると思う。
【内容紹介】本書「あとがき」より

 いま、私はこの本が、宮沢賢治を研究するたくさんのかたがたによまれることをねがっている。もちろん、地学にたずさわっているかたがたには、宮沢賢治の地学者としての実体を知っていただきたいし、また、生徒や農民のために、地学をやくだたせるべく努力した宮沢賢治の姿勢にまなぼうではないかと訴えたい。
 詩人・文人としての宮沢賢治の研究はさかんであるが、なぜか理解できない。閉ざされた世界があったという。「それは、うたがいもなく、地学の世界だ」と、私の友人のある文学者が語っておられた。
 この本が、宮沢賢治研究にたずさわる文学者のかたがたにも、少しでもお役にたつところがあれば、このうえない光栄である。
 この本は地学者としての宮沢賢治の、いわば“アウトライン”に過ぎない。これを機会に、こんご、さらにくわしく、地学にとりくんだ宮沢賢治の姿をうきぼりにすることを期している。
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