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SUVが世界を轢きつぶす
世界一危険なクルマが売れるわけ

キース・ブラッドシャー[著] 片岡夏実[訳]

3200円+税 四六判 480頁 2004年3月発行 ISBN4-8067-1280-9

ほんとうのクルマ好きは、SUVには乗らないってこと?
メーカーはSUVの購入者を人格破たん者だと思っている?
北米で社会現象を引き起こした告発ルポ大作!

SUVとは、、、、、
トヨタ・ランドクルーザーのような大きくて重心が高い、多目的スポーツ車のこと。

ワシントン、デトロイトでの10年にわたる取材で描く、
米自動車産業界・政治・行政のダイナミズムと、その裏側。

アメリカ製造業の屋台骨を支える自動車産業の主要製品であるSUVを真っ向から「欠陥商品である」と告発した本書は、著者が、デトロイト支局長(後、香港支局に異動)として、ニューヨークタイムズ紙上ですでに論陣を張っていたことも手伝って、2002年秋の発刊直後から、大きな反響をよんだ。

自動車メーカーは、本書に対する分厚い「反論書」を作製、本書で批判された「業界べったりのジャーナリストたち」からも容赦ない反論が新聞紙上におどった。

一連の取材で、著者はピュリッツァー賞のファイナリストに選ばれている。

米国トップクラスの政治家、官僚、米、日、独の自動車メーカーの経営陣から、環境保護団体の活動家まで、じつに丁寧な直接取材をもとに執筆され、容赦なく批判の矢を放つ本書は、日本の読者にとっても、鮮烈な驚きをあたえてくれるだろう。

マイケル・ムーアが「ボウリング・フォー・コロンバイン」で
アメリカの歪んだ銃社会を暴き出したように、
本書はSUVをターゲットに、
「HIGH  AND  MIGHTY(高く、そして強く、巨大に)」(原著タイトル)
に象徴される、おぞましくも興味深いアメリカ産業の冷酷さ、隠蔽工作、欺瞞、強欲を描いた傑作ノンフィクションである。

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全米騒然!本書が引き起こした騒動と社会の動き

1:全米6箇所で、SUV販売店が焼き打ちにあう。あとには、「むかつく汚染の元凶」と落書き。

2:米国聖公会、福音ルーテル教会などキリスト教団体が『イエスはどのクルマを運転したもうか』と反SUVキャンペーン。(ちなみにアンケートの答えには「イエスは、どの車にも乗らずに歩くだろう」と言うこたえも、多数よせられる)

3:SUVの燃費の悪さと中東のテロを支援するオイルマネーを関連づけた反SUVの意見広告がテレビコマーシャルで流れ、話題に。

4:自動車業界の支援でSUV擁護の市民団体『自動車選択の自由連合』設立

5:SUVが引き起こした悲惨な事故を見てきたER医師が、規制当局の責任者に就任

6:消費者運動のカリスマ的リーダー、ラルフ・ネーダーが、本書を絶賛。
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【ラルフ・ネーダー氏評】
1965年以降、デトロイトの巨大自動車メーカーに これほどの痛撃を与えた本はない。

書評再録 読者の声
【主要目次】

序章

第1部:SUVの誕生

1章:SUV前史
2章:死体再生
3章:フォード・エクスプローラーの開発
4章:SUV大型化への道---燃費・税制・大気汚染の政治学
5章:SUVが支えたアメリカ経済
6章:「威圧的で凶暴」を売る・・・SUVマーケティングの基礎

第2部:SUVの暗部

7章:四駆安全神話
8章:横転
9章:殺傷率・・・コンパティビリティの低さ
10章:なぜSUVの自動車保険は安いのか
11章:街の迷惑者
12章:温暖化、燃費、大気汚染とビッグスリーの闇カルテル疑惑
13章:マスコミを味方に引き入れる
14章:緑の王子---フォードの環境戦略
15章:フォード=ファイアストン・タイヤ騒動の真実

第3部:SUVが世界を轢きつぶす

16章:次世代のSUVドライバー
17章:多目的クロスオーバー車
18章:アーノルド・シュワルツェネッガー
19章:世界を覆うハイウェイ軍拡競争
20章:SUVに乗るということ

終章:本書刊行から15カ月で何が起こったか(2004年増補分)

付録1:SUV:13の神話と現実
付録2:自動車の分類一覧と初期オフロード車の歴史
付録3:安全なSUVの買い方と乗り方

訳者あとがき