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森なしには生きられない
ヨーロッパ・自然美とエコロジーの文化史

編著者……ヨースト・ヘルマント →→編著者略歴と主要著訳書
訳者……山縣光晶→→訳者略歴と主要著訳書
2500円 ●2刷 A5判 234頁 1999年6月発行

ヨーロッパの森林や、田園、山村のたたずまいの美しさを造りだしている背景には、文豪ゲーテや詩人シラーなども関わってきた、数世紀におよぶ国土の環境保全に対する国民意識の醸成がある。
200年におよぶヨーロッパの里山保全運動や、アルプスの観光地化と自然・景観保護の歴史、また、ワンダーフォーゲル運動の自然観を解説。
ドイツを中心とする、ヨーロッパの農業、林業、環境行政の文化・思想的背景を初めて明らかにした本書は、日本の森林保全や農山村地域の活性化に不可欠なさまざまな要素を浮き彫りにする。

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【主要目次と執筆者】
第1章・まずは木々だ、わたしたちはそれからだ!---森の保護のさまざまな動き---
ヨースト・ヘルマント
第2章・エコロジカルな楽園と実利本位の植栽地---啓蒙時代の教育家たちのたどった道---
ミヒャエル・ニーダーマイアー
  1. 近代化、そして自然への憧れ
  2. 感傷的「天才たち」と「理性的」啓蒙主義者の争い
  3. 「若きヴェルテルの悩み」---先鋭化する対立
  4. 自然のなかの教育農場の構想とその挫折
  5. 農民の敵であった君主の森
  6. 実利重視に傾く汎愛学舎、感傷を失う農業や林業
  7. エコロジカルで牧歌的な楽園との決別
  8. 憧れの楽園となりえなかったアメリカ
第3章・ヨーロッパの庭から競技場に変わったアルプス
クレメンス・アレキサンダー・ヴィンマー
  1. もてあそばれた秀峰ギリ
  2. 実利的に利用されたアルプス
  3. 自然の美や崇高さに感激したルソーやゲーテ
  4. 科学や技術などによるアルプスの征服
  5. 文学や絵画や庭園によるアルプスの表現
  6. 道徳を再生させ、精神をよみがえらせるアルプス
  7. 地霊のはびこる山、神に通じたアルプス
  8. 保護の試みはどのようにしてはじまったのか
  9. 真の利他的な自然保護の実現を
第4章・森にレクリエーションを求めた勤労者たち---労働者は自然破壊の共犯者であったのか---
ウルリヒ・リンゼ
  1. 左翼は盲目的に進歩を信仰していたのか
  2. 水の汚濁や大気汚染への異議申し立て
  3. 自由な森から閉めだされた貧しい農民
  4. ユートピアの森とレクリエーション機能
  5. 森の破壊は川を涸らす
  6. 自然保護に進歩の展望はあるのか
第5章・郷土保護連盟---美を愛でる心とエコロジーの統合---
ウィリアム・ローリンズ
  1. 風景はその美しさのゆえに守られなければならない
  2. 美の価値を重んじた改良の伝統
  3. 悲鳴を上げる風景
  4. 美とエコロジーをつなぐ薮や混交林
  5. 風景も自然美もまた公共の宝物
  6. 郷土保護運動に学ぶ知恵
第6章・農山村の風景美を好んだ市民層の青年たち---ワンダーフォーゲルの自然観とその限界---
ヨアヒム・ヴォルシュケ=ブルマーン
第7章・エコロジーの宣言「人間と地球」---進歩に背を向けたひとクラーゲス---
マーチン・カーゲル
  1. 非合理主義の哲学者の思想の光と影
  2. 原因は「いのち」に敵対する「精神」にあり
  3. 今日のエコロジカルな危機を予見した「人間と地球」
  4. クラーゲスの功績と限界
第8章・楽園を夢みて---ハンス・パーシェの世界自然保護構想---
ペーター・モーリス=カイテル
  1. パーシェの活躍した時代
  2. パーシェの生涯
  3. 小説「ルカンガ・ムカラ」
  4. 世界自然保護構想の夢と希望
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