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こんな公園がほしい 住民がつくる公共空間

【書評再録】


●毎日新聞評(1997年12月3日)=「ここ1、2年、参加型公園づくりの流れは加速している。公園を自分たちの手で、という住民の気持ちが行政を動かしている」
公園作りの事例を集めた「こんな公園がほしい」を最近出版した千葉大園芸学部の小野佐和子助教授はこう話す。
「住民がかかわっている公園は、時間がゆったり流れ、人を落ち着かせるような雰囲気がある。滞在時間が長くなり、人と人との出会いが生まれる。それが公園の原点」

●読売新聞評(1997年12月14日)=参加型のまちづくりに挑む新しいタイプの住民たちを追った。住人が建て替え案を作った東京の団地、種をまくなど利用者が自由に手を加えられる公園、都市の中に田んぼを残す横浜市の試みなど、これからの地域を考えるうえで役に立つ道筋がいくつも示されている。

●東京新聞評(1997年11月20日)=本当にほしいのは草、木、水辺、泥、虫、昔からの風景、そして人と人とがかかわり合う空間。だが、身近にあるのは、見た目はきれいだが草木や雑草にすら触れないよそよそしい空間。そんな公共の公園の現状に疑問を抱いた人々による、各地での住民参加の公園づくり、街づくりのリポート。東京・大田区のくさっぱら公園、横浜市の長屋門公園、東京・世田谷区のねこじゃらし公園などを実例にして。

●ビーパル評(1997年1月号)=どこも似たような公園ばかり、という行政への批判はよく聞く。しかし、本書で取り上げられている各地の公園づくりの試みは、行政を味方に引き入れてしまったことが違う。
従来、公園は行政が勝手に作り、そこのゴミは業者が片づけるもの、という意識が強かった。本書は、自分たちの公園、ひいては自らの街は自分たちで作ろうという意識が、目立たないながらも確実に広がっていることを教えてくれる。

●図書新聞評(1998年1月17日号)=建築雑誌に連載したリポートの総集編。
地域で、自分たちの生活環境(公共空間)づくりに積極的に取り組み、「自分たちの望む場所」にしてしまった人々がいる。
彼らは「何を考え、何を望み、自身の願望をどのように実現してきたか。また、実現しようとしているのか」
リポートは、それをテーマにすえて取材された。
「行政と一緒に何かやるんだったら、こういうようにやりなさいよ!」。
そんな著者のメッセージが感じられる。住民にとっても役人にとっても参考になる1冊である。

●教育ジャーナル評(1998年3月号)=憩いと遊びの場である公園も見た目はきれいだが草木などの自然の魅力に乏しく、恵まれた状況ではない。千葉大学の園芸学部緑地・環境学科の助教授である著者が、そういった公共の公園の現状に疑問を抱いた人たちの公園や街づくりの実際を、共に考えながらリポート。
街づくりの原点やプロセスを追って、インドネシアや東京・世田谷区「ねこじゃらし公園」、横浜「舞岡公園」などの実例を詳細に解説する。

●晨評(1998年1月号)=最近の公園はひっそりしていて、子どもの遊ぶ姿はあまり見られない。塾通いのせい、ともいわれるが、現在の公園は子どもにとって魅力が薄いのではないだろうか。
その原因は、現在の公園のほとんどが管理型であり、あれをするな、これをするな、と規則ばかりが多いからではないかと思われる。本書に登場する公園は、住民自らが発想し、運営をし、つくり続けていくもの、完成のない公園である。そこでは、管理型の「手をつけられない」公園ではなく、住民が絶えず目配りをし、自分たちでつくり変えていける公園の自由さがある。
最近、住民参加型の公園づくりは多くなっているが、つくれば終わり、ではなく、公園はつくったところから始まる。自治体による支援も重要な課題である。

●都政新報評(1997年11月25日)=街づくりの仕事をしていると、住み手や作り手がいきいきと活動している話を聞くと嬉しくなる。著者の紹介する八つの話はどれも生活を楽しむ知恵をもった人々が取り組んだ公共空間づくりの話である。
ここで紹介されている公園づくりの話、公共施設づくりの話は幸せな事例だといえる。
住み手と作り手が力を合わせ知恵を出さなければいけない場面がこれからも続く。この本に登場する人たちのエネルギーを貰い、さらに新しい話をつづることができるように努力せねばと思う。

●造景評(1997年12月号)=住民が積極的に場づくりに関わっている公園を取り上げ、紹介している。
東京都世田谷区の「ねこじゃらし公園」、横浜市の「長屋門公園」など、本誌でも紹介した住民参加型の公園がいくつか取り上げられている。そのほか、ごみ焼却場建設問題で知り合った地域住民を中心に建設された東京都武蔵野市の「けやきコミュニティセンター」や市民グループの活動が都市公園の中に田園を残す発端となった「舞岡公園」など、ユニークな例が並び、面白いルポルタージュとなっている。
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