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黒髪の文化史

【書評再録】


●朝日新聞評(1988年12月18日)=飛鳥・奈良の昔から明治時代まで、さまざまに変わってきた髪の形。どんなスタイルが、どうして編み出されてきたのか。エピソードをまじえて、やさしく説いている。
たとえば万葉の時代の黒髪と、人びとの心。あるいは髪にまつわる呪いの事件。きらびやかな王朝風俗。髪形と衣服の相関関係。江戸後期に完成した日本髪。男たちを戸惑わせた断髪令。髪形の背景にそれぞれの時代がくっきり浮かび上がる。
それにしても、なんと種類の多いことか。
わかりやすい本をめざした。その一つが、時代ごとの男女別髪形図と解説。260余点の図は、正確を期して自分で描いた。

●北日本新聞評(1988年11月28日)=「髪」をテーマに、古代から現代までの各時代の文化、風俗を背景として日本の男女の髪形の変遷をたどったもので、異色の日本文化史となっている。本書の最大の特色は、著者自身の手書きによる260余点の結髪図、小道具図が各ページに配されていることであろう。髪形がこんなにもたくさんあるというのは驚くほかないが、それが明快に図示されているので、それぞれの違いがよくわかる。
また巻末にくし、かんざしなどの小道具の解説も要領良くまとめられており、“日本髪形事典”としての役割も十分に果たしている。

●歴史街道評(1989年4月号)=「髪」をテーマに古代から現代までの各時代の文化、風俗を背景にして日本の男女の髪形の変遷をたどったもので、類書をみない日本文化史となっている。
愛の証であると同時に生ける霊魂と信じられ呪術に使われた飛鳥・奈良時代、爛熟した文化の中で華麗な姿をきそい、世界的にもめずらしい芸術的髪形をつくっていった江戸期---古代から現代まで、それぞれの時代にその時代精神をいきいきと反映してきた髪形を豊富なエピソードを交えて描き上げている。
この本の最大の特色は、著者自身による、260余の結髪図、小道具図が各ページに配され、それぞれの髪形の違いがよくわかることであろう。
また、巻末にくし、かんざしなどの小道具の解説も要領よくまとめられている。
「日本髪形事典」といったタイトルにしてもよかったのではないかと思う。

●読書人評(1989年1月16日)=数多くの過去のヘアスタイルの存在を教えてくれる貴重な本と言えるだろう。
著者は日本風俗史学会会員として永年日本の結髪史を研究する一方、装道きもの学院高等師範科講師でもある。
本書の構成内容は日本の古代より明治時代まで、各時代の風俗、社会背景と髪形の特徴、男性および女性の髪形の種類と特徴について事典形式でを詳述している。
本書を開くときれいな髪形図が目に飛び込んでくる。解説されている全髪形に、著者の手書きによる結髪図が添えられており、視覚的に理解しやすくしている。髪形の名前だけでなくその結い上げ方、出来上がった形をつかんでいなければ絵として描くことはできないことを考えると、一枚一枚の絵に永年の研究成果が表現されていると言え、本書の大きな特徴ともなっている。
最近増えてきた卒業論文で化粧や髪形に関するテーマを選び始めた人たちにも本書は大いに役立つに違いない。そして今後、結髪史が、例えば身体文化の一つとして研究されていくなど、その枠を越えて発展することを望みたい。

●週刊文春「著者と60分」(1989年1月12日号)=日本人の髪形とは、かくも多様で、微妙な変化に富んだ味わい深いものだったのか---飛鳥、奈良時代から明治まで、男女の髪形の変遷をたどった本書を読むと、つくづくそう感じさせられる。
島田ひとつとっても、時代や階級によって、何十種類もある。男子の髷にしても、身分や職業によって異なるし、その時代の流行もある。よくもまあ、これだけ調べたもの……。
著者自身の手描きによる結髪図、小道具図260余点が収録されている。図の下にその説明がつき、すこぶるわかりやすい。
テレビの時代劇などもよく観るが、やはり専門の髪形や衣装が気になってしかたがない。
「女優さんの好みもあるんでしょうけど、江戸初期の物語であっても、髪形は幕末になっていたりするんですね。また、大店の娘も町娘も、髪形や衣装に差がなかったり、お姫さまが町娘しかしないような赤い縮緬の前髪くくりをやっていたこともありまして、残念に思いました」
テレビ局のスタッフのみなさん、この本を読んでもう少し勉強しましょう。

●朝日ジャーナル評(1989年1月20日号)=飛鳥・奈良から明治まで、髪形の変遷をまとめた「黒髪の文化史」は、忘れられつつある髪形を一覧できる日本髪形事典。
図鑑であるだけでなく、時代時代の髪と人とのかかわりを記した読み物でもある。

●週刊ポスト評(1989年12月9日号)=具体的にイメージできなかった髪形の変遷を、絵と文でたどるうち、人間髪に発す、という思いに駆られさえする、楽しい労作である。

●しんびよう評(1989年3月号)=【日本人の黒髪を通じて、日本の文化を知る。とってもわかりやすくてタメになる一冊。】
「黒髪の文化史」という本がちょっとした話題になっている。タイトルはいかにも日本的で、つややかな感じさえ受ける。
飛鳥・奈良時代から明治時代まで、移り変わってきた女性・男性の髪形をイラストやその時代、その時のエピソードをまじえて、やさしく説いてある。エピソードは例えば、髪上げと霊魂、きらびやかな王朝風俗、大宮人の髪洗い、大奥の実態など、髪形が示す背景にあるそれぞれの時代が、おぼろげながらも浮かび上がってくる。
とにかく一般向けにわかりやすい本だ。それは“時代別男女の髪形”にもいえるし、全部で260点あまりあるイラストもそうだ。
黒髪を通しての日本の文化史なのだが、そこには生活史的な要素も加わっている気がする。美容師さんにぜひ手に取ってもらいたい超おすすめの一冊だ。

●媒体不明=豊かな黒髪をつややかに結い上げた日本人の姿は、これほど気品にあふれた美しいものだったのか。飛鳥、奈良時代から明治に至る日本人の髪形の変遷をたどったこの本のページをめくると、あらためて日本の文化の豊かさに打たれる。
解説に合わせて収録されている260余点の髪形図も、大原さん自身の手書きによるもの。
複雑で多様な髪形をながめるだけでも楽しいが、その背景にある人びとの暮らしぶりが、また生き生きと描かれている。

●にんぎょう日本評(1989年2月号)=飛鳥、奈良朝から明治期までの髪形の流れを、時代別、男女別に紹介する著書。
日本風俗史学会会員であり、きもの学院で結髪史の講師を務める著者自身の手による260余の結髪図が随所に織り込まれ、わかりやすい仕上がりになっている。
ソバージュがどんな髪形か知りたい人には不向きだが、業界関係者には必携。

●百日草のはなよめ評(1989年2月号)=飛鳥・奈良時代から現代までの男女の髪形の変遷が、著者自身による結髪図とともにたんねんにたどられている。
しかし単なる“髪形事典”に終わらせず、その髪形が背負ってきた文化、風俗、生活や豊富なエピソードが“事典”のかたくるしさをさけて、楽しい読み物にしている。
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