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ATOMIC BOMB INJURIES 原爆症

【書評再録】


●朝日新聞評(1995年6月17日)=被爆直後の広島で人体への影響を調査して以来、科学者の立場から原水爆禁止運動に取り組んできた草野信男・元東大教授編集の「原爆症」が、42年ぶりに再刊される。米スミソニアン博物館での原爆展が中止に追い込まれたことに危機感をもった学者らは、この本を「海外へ贈るキャンペーン」を始める。
人体の組織・細胞の顕微鏡写真をはじめ、原爆の被害を克明に記録した112枚の写真や図を掲載。海外では「日本人が被爆の実相を海外に伝えようとまとめた初の英文文献」として反響を呼んだ。
草野元教授は、「まず世界各地の医学校や大学に贈って、いまだに被爆の実相を知らない科学者に見てほしい。この本は来世紀への遺産だ」と言う。

●朝日新聞評(1995年7月11日)=戦後の一時期、占領軍によって公表に圧力がかけられた被爆者の人体組織や細胞の顕微鏡写真など人体への影響を克明にまとめた。編著者の草野氏は「体の中の放射線被害は外からは見えにくい。一人でも多くの人にこの事実を知ってほしい。チェルノブイリ事故で明らかになったように、今後は核戦争なしでも放射線被害が起こりうることを肝に銘ずべきだ」と語った。

●毎日新聞社会面(1995年7月11日)=広島原爆の人体影響を克明に記録。原爆の人体影響を伝える初の英文文献として世界の反響を呼んだ。放射能による障害は見えにくい。この本でそれを知ってもらいたい。

●日本経済新聞評(1995年7月11日)=原爆被害の実態を世界に知らせた報告書。
放射能が人体に与える影響を写真入りで詳細、専門的に記述。草野博士は原爆投下直後の広島に入り、多くの患者を調査してまとめた。

●東京新聞特報面(1995年7月11日)=原爆投下直後に人体が受けた影響を初めて英語で記した貴重な専門書。原発事故や核実験など核の迷走が続く中、冷静な科学的知識が再認識できれば、との思いが込められている。
IPPNW日本支部事務総長の横路謙次郎・広島大名誉教授は「被爆者の50%は生存し、いまだ続くがん発生などの後遺症の恐怖にさらされていることは国内でも忘れられがち。だが『原爆症』の結論にあるように、『医学が進歩した現在でも放射線障害を治す方法はいっさいない』のだ」とあらためて、放射線被害の永続性に目を向けさせる。
草野氏は「核戦争なしでも、核の被害が起こり得ることをチェルノブイリ事故後に教訓として得た。こういう被害が起こる可能性のある人、つまり地球上のすべての人が、知識を持つべきだ」と話す。

●河北新報評(1995年7月15日)=原爆投下直後に人体が受けた影響を初めて英語で記録した貴重な専門書。原爆投下直後に救急医療や調査研究を行った医師らが残したデータが元になり、投下直後の治療や放射線病、原爆後遺症などが英文で記された。被爆者の生々しい傷あとや臓器、細胞の顕微鏡写真も盛り込まれている。

●軍縮問題資料評(1995年10月号)=1953年に出された、日本人の手になる英文での原爆症に関する貴重な本の改訂版である。元東大医学部教授の編著者は1945年8月、広島の生存者の中には赤痢ようの血便患者が多いとの報に接し、広島に原子爆弾が投下された2週間後に現地に赴いた。それらの原因究明などを手がけたのがきっかけになり、以後、原爆症の研究に打ちこんできたが、本書はいわば、その集大成の英文書である。
世界の政治家や軍事関係者、特に核武装や核実験に熱心な方々、好戦的な人々などに、ぜひお読みいただきたいものである。

●世界評(1995年10月号)=原爆投下後いち早く広島・長崎の両市に入り、救護活動とともに事態の調査研究に努力した一群の人々がいた。医師、大学の研究者、陸海軍病院スタッフといった人々である。彼らは被爆が人体に及ぼす影響を世界で初めて記録し、大量の病理組織学的資料を収集した。

●ぴーす・ぴあ評(1997年3-4号)=「原爆症」は放射能が人体にもたらす病理学上の変化をコンパクトにまとめた数少ない報告書でもあります。さらにこの書の持つ真の値打ちは、これが単なる医学面への貢献にとどまらず、人類の絶滅を警告する歴史的な文書ともいえるからなのです。原爆投下以来起こった幾多の悲惨なドラマを思い浮かべながら、50年以上経過した今日でさえ核の脅威から解放されていないわれわれは一体いつになったらその安堵感を得られるのであろうか。
(この書評はドイツの学会誌「PATHOLOGY RESERCH AND PRACTICE」で紹介されたものだそうです。発行日はわかりませんが書評のコピーが草野先生のもとに届けられたのが今年の1月でしたので昨年末ぐらいに発刊されたものと思われます。なお、評者のウェレンス氏は、ドイツのフライブルグにある病理学研究所のドクターです。)

●日本印刷新聞評(1995年8月19日号)=同書に収められたアメリカの原爆攻撃記録は、前古未曾有の医科学的事実を描き出している。きわめて貴重な文献である。
TNT爆弾と根本的に異なる点は原子爆弾による放射線被爆によるさまざまな後遺症であり、現在なお若年被爆者を主体として被爆者の約50%は存命中であり、これからの被爆者が辿る運命が注目されるゆえんである。
被爆国としての核兵器廃絶を訴える国際的な出版である。
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