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猫の歴史と奇話

【書評再録】


●朝日新聞「私の愛用・実用書」欄・久世アキ子氏(絵師)(1997年11月3日)=本書は、猫の歴史や記録、形態など、基本を網羅した、わかりやすい学術書になっているのです。
まずは、古代エジプトにおける家畜化が始まり。日本で最初の猫愛好家は宇多天皇で、唐から渡来した黒猫をたいそう可愛がったそうな。明治天皇、東条英機も! というのは意外。
養蚕の盛んな地域では、猫の値段は馬の数倍もした。ペストがはやった時には、国が猫を飼うよう奨励もした。もちろん、猫独特の神秘性や、主人の仇討ちのために魔物扱いされたという記録もある。
興味深い話の連続に、あなたもきっとのめり込むはずよ!

●北海道新聞評(1992年10月18日)=猫の生態について古今東西の文献をあさった。とりわけ面白いのは「年老いた黄色か黒色の雄猫で尾先が二股に割れた化け猫」という「猫股」の伝説を扱った章。藤原定家の日記「明月記」はじめ「徒然草」「甲子夜話」などから広く引用、怪異さを浮き彫りに。

●月刊アサヒグラフ「パーソン」評・斎藤美奈子氏「私の偏愛読書メモ」欄(2001年6月号)=猫本の90%は駄本である。駄本の山をかきわけて推奨できる本は少ない。
文科系の啓蒙書としておもしろかったのは『猫の歴史と奇話』。古今東西の猫伝説等々を文献から抽出したヘーンな雰囲気の本。でも、資料性は高い。猫好きを自称するならこれくらいは読んでおくのが常識。

●「迷い猫あずかってます(金井美恵子著・新潮社刊)」より=「P」はとても気性の激しいメス猫で、飼い主に連れられて散歩中の犬を襲い、爪でひっかかれて血まみれになった犬も2頭や3頭ではきかず、犬の飼い主からの苦情で、紐でつながれるようになったのだという……(中略)……猫の対犬戦法はローレンツも自分の村の猫のエピソードとして「人イヌにあう」のなかで書いていたが、「猫の歴史と奇話」第6章の「11、犬を襲う猫」の項目には、そのようにはなはだ興味深く戦慄的な闘う猫の話が11例掲載されている。まだこの本を読んでいない読者は、すぐに本屋に注文すべきである。

●猫の手帖「92年・猫の本ベストテン」欄=古今東西の文献を網羅した“猫学”研究の古典ともいうべき一冊。日本猫の保存についてという項目も。
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