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女の部下を叱れない 男の我慢 女の不満

【内容紹介】●本書「まえがき」より


 女性に対する混乱の一番の象徴は、職場で女性の部下を叱れない上司が増えてきたことだという。女性に対しては、やさしく振る舞うものだと思い込んでいる男性は、女性の部下を叱ることができない。きつく叱ると泣き出すかもしれないし、そんなことになったら大変だと思っているからだ。しかし最近は、どうも、そうとは限らないらしい。最近の女性は、場合によっては、男性以上に厳しく反撃に出てくるかもしれないというのである。こんな、予測のできない女性たちの扱いにほとほと困りきっているというのである。
 その理由は、確かに女性たちが変わり、さまざまな女性が現れて男性たちを混乱させているのも事実である。だから、そうした女性たちの変化に対して、男性たちが依然として旧態然たる発想から抜け出せないで、混乱しているからだという指摘もできる。つまり、男性の側に、こうした新しい女性たちに対する理解ができていないから、対処ができないということだ。
 そんな男性たちの対面恐怖症や不安が女性たちを叱ることにますますブレーキをかけてしまう。そして、じーっと我慢をしているうちに、その我慢が積もり積もって怒りに変わる。女性たちだって、今の扱いに決して満足しているわけではない。遠慮して丁寧に扱われることと交換に、一人前に扱われないことに不満を持っている。そして、男性たちは、女たちの自由気ままさを叱ることもできずに、もっともっと自分たちは我慢していると思っている。こんな縮図が職場のあちこちで見受けられる。
 今、女性たちは、「家庭を守り、控えめで自己主張しない女らしさ」という束縛を投げ捨てることで、より自由になろうとしている。男性たちはまだ、男らしさ、女らしさにこだわり続けて、女らしさを求め、男らしさを演じようと努力している。しかし、これから迎えようとしている時代は、この男らしさを演じ続けるにはもっと厳しい時代となりそうだ。だからもう、男性たちはこうした我慢を投げ捨てるべき時期なのかもしれない。
 現代の「男らしさ」とは、家族を養う責任感を人一倍持ち、会社ではバリバリ仕事のできる有能な人であり、家族にとってはやさしい包容力のある温かい人だが、会社では出世を目指して、果敢にチャレンジを続けていく、積極的で意志強固な人ということにでもなるのだろうか。こんな男らしさを維持することは、誰が見ても、もはや大変なことである。
 こんな大変な男らしさをこれからも演じ続けていくかどうかは、ちょっと立ち止まって考えてみる必要がある。男だから、女だから、というこだわりを捨てた時、「男も女も」という共通の世界が見えてくる。そして、女の部下も男の部下と同じように叱ることのできる時代がきっと来る。
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