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鉄道−明治創業回顧談

【内容紹介】本書「あとがき」より


 おやとい外国人に丁髷をひっぱられながら、仕事をさせられたとかいった鉄道創業時代の話は、単なる話としては聞いたこともあったが、当時の生きた資料として残っているものは数少ない。いや、ほかには無いといってもよいのではないだろうか。
 そういった点で、伊藤、大隈など有名人の回顧談を除いても、この資料はまことに貴重である。
 十数年前、まだゼロックスもないころ、何日もかかってせっせと手書きで写した私は、長年自分一人の世界の中で、この資料を秘蔵していた。しかし、この度、出版をすすめられた機会に、多くの人たちに知ってもらい、また使っていただくことも、より意味があるのではないかと思い、ここに公開を決意したものである。
 以前私は、長年わが家で飼っていた一頭の牛が、肉牛として売られていくときの心情を描いた少女の作文を読んで、ひどく感動したことがあった。この記録も、いざ印刷されてみると、できあがった喜びとともに、また惜しいような私の内面にある心情も否定することができない。
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