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みんなの保育大学シリーズ4
足のはたらきと子どもの成長

【内容紹介】本書「本文」より


 ヒトの足の進化、それもヒトが直立二足歩行を獲得する以前からの足の進化、その由来までたずねて申し述べてきました。というのは、子どもの成長、とくに赤ん坊が誕生して立ち上がって歩くまでの、わずか一年有余の動きや成長のには、長い年代にわたる足の進化を再現して見せていると思われるところがあるからです。足の進化を知ることは、とりもなおさず子どもの成長を正しく理解するもとになると考えるからです。
 最近、保育関係の雑誌で正木健雄さんや宮下俊彦氏と対談をしたとき、この頃の若い母親は歩行補助器をつかって赤ん坊を立ち上がらせるとか、小学校の生徒が朝、学校にきてあくびをするとか、教室の椅子にぐにゃっとなってすわるとか、背筋力がたしかに弱ってきているとか、ちょっと運動をしても目まいをおこすし長つづきしない、などなど、いろいろと聞かされておどろきました。こんなことはすべて、私にいわせれば、なにか乳幼児のときの育てかた・運動のさせかたに問題があるように思われてなりません。
 乳幼児をいちばんよく知っているのはお母さんであり、また保育に関係している方々でしょう。そして子どもは、一人ひとり体質も個性も違うのですから、その育てかたも、最大公約数的なことが書いてある育児百科という手引書どおりにはいかないでしょう。私の後輩の若い奥さんが、育児百科と首っ引きだと聞いたとき、その気持ちがわからないでもありませんが、おそろしいことだと思いました。私の周辺には、いま、乳幼児はいませんので、おこがましいしだいですが、足の進化という観点から、私の考えを少しお話ししたいと思います。
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