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保育の未来を考える

【内容紹介】本書「付言・人間は本当にかしこくなったのか」より


 健常に生まれ、秀才のほまれ高く、六年生で株の売買をおぼえ、20代で自叙伝を書かせたほどの人が巨大な財産家となった30代に、詐欺師とさわがれ、命が危ないとさとって自首した人がいる。
 私は、小さい時は知恵遅れといわれ、小学校の一年生にも入れず、遅れてはいったため宿題もできず、教室の前に立たされて育った。さくら幼児園という小さい小さい無認可の保育園をはじめたのが35歳、そして今なお毎月の終わりには重い障害児を預かる施設にかかる費用をどうして捻出するかと苦労している私と、みなさんはどちらが好きな人間ですか?---とある講演会で、私は聴集に問いかけたことがある。みなは笑った。
 人間の賢さと富は比例しないものである。富を愛するか、真の賢い人(すなわちヒューマンな生き方をする人)を愛するか。
 私が六歳を迎えた子どもたちに「ドリトル先生アフリカ行き」を読み聞かせたり、3回目の絵本になる「黄金のかもしか」の話を語り聞かせたりするゆえんはそこにある。
 このころのやわらかい脳そのものが表われている目が、喰い入るようにして聞く私の話。この話を聞いてくれた子どもたちに、私は未来をかける。これこそ真の人間性、真の人間の必然性にかける保育だと私は思っている。
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