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[新]ヒトの解剖

【内容紹介】●本書「はじめに」より


 人体に関心のない人はいない。若い頃は、顔の形や、記憶力などの脳の機能に関心があるが、年齢をとれば、だれしもからだのあちこちに故障がおこり、さまざまな病気にかかる。また、自分は健康でも、子どもや兄弟・両親がさまざまな障害や病気に苦しむこともある。そんなとき、いったい病変の部分はどうなっているのだろうか、正常な姿はどうで、自分や家族の異常な状態は、それとどう違っているのだろうか、という関心がわいてくる。
 本書は、一般の人びとに解剖学と解剖実習のようすを知っていただくために書かれている。小著ははけっしてむずかしい専門書ではない。まずは、通勤・通学の電車のなかででも、気軽に読んで、人体のしくみを解剖実習にそくして、理解していただければありがたいと思う。
 本書の構成は、まず、解剖学と献体の歴史からはじまり、解剖の準備、皮はぎから筋肉の解剖、さらには内臓の解剖へ、そして顔と頭、骨、脳の解剖と、ほぼ解剖実習の手順にそって、人体のしくみを解説している。最後に、男女のからだの違い、人体の特徴、社会科学的にみた人体について述べてある。小著は、読者の関心のあるところ、どこから読んでいただいても構わないようにできている。
 いまや、人体解剖は、医学・歯学・人類学といった専門家だけの独占物ではなく、広く一般の人びとのものになろうとしている。医師の立場からも、一般の人びとが人体のしくみを理解し、その構造と機能を充分に知っていることが、最近その重要性を強調されているインフォームド・コンセント、すなわち、患者の理解と承諾にもとづく医療を実現するために、必要な条件になってきている。
 もし、小著から、解剖実習をささえる献体の意義、人体の機微や人命の尊さとあわせて、労働力としての人体について思いをめぐらせていただければ、望外の喜びである。
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