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ノーベル賞科学者のアタマの中
物質・生命・意識研究まで

【内容紹介】●本書「序文---ノーベル賞科学者「その後」の群像(下條信輔・カリフォルニア工科大学教授)」より


 ノーベル賞を受賞した科学者のアタマの中はどうなっているのか。誰でも興味があるところだろう。科学にとくに関心のない人々ほど、科学史上の大発見をとげた人々の思考の中身がよりミステリアスに思われ、かえって興味をひかれるかもしれない。
「ノーベル賞受賞者は、ときとして哲学的、宗教的な話題や超心理学にさえのめりこむことがある。偉大な科学的知性の持ち主のはずなのに、これはどうしたことか」。そういうややミーハー的ともいえる関心から入って、直感的で説得力のあるかたちで科学の過去と未来を照射する地点に、着地してみせた。この点こそが、この本のもっともユニークな功績である。
 結果として、現代的で平易でいきいきとした、科学論らしからぬ科学論に仕上がった。新聞記者としての経験を生かしたインタビューと豊富な取材を交え、科学者の体から発散されるオーラや人間的な臭みが折にふれて活写される。相対性理論、量子論、複雑系、そして意識研究の最前線まで踏み込みながら、現代科学の普遍的な問題を、ぬかりなく指摘している。
 科学になじみの薄い読者でも、人生と科学的データのつながり、科学と社会の関係を、温もりのあるかたちで実感できるのではないか。多くの人々に(とりわけ科学オンチ、科学嫌いを自認する人々に)お勧めしたい。
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