書誌情報・目次のページへ 書評再録のページへ 読者の声のページへ
土木地質学入門

【内容紹介】本書「あとがき」より


 工学部土木工学科・地盤工学科の学生諸君の中には、自分にとって、地質学とは無縁な学問であるといった感想がみられます。しかし、私が接した経験の豊富で有能な土木家の方々は、なかなかに地質学の知識が深く、かつ、現場での地質学的な説明には興味をもって聞かれる方が多かったように思われました。
 有能な土木家と接してみると、彼らは、地質学そのものというよりは、その説明で理解される地質構造が、自分のたずさわる建設計画・構造物とどうかかわりあうかを考えることが主要な問題で、地層の成り立ちの歴史から、岩層の強度が地下でどう変化しているか、断層などの分離面・弱線が構造物とどのような関係にあるかなど、自らの頭の中で考察されているようでした。
 現場での地質の説明の中で、質問の多くは、どうしてこのような地質分布となるか、説明の根拠・理由などにかかわるものでした。この入門書は、地質技術者が、土木工学の分野でどんな発想で地質調査を行っているか、地質学的な発想の基本を述べている内容が多く、いわゆる地質学的な学問の先端などを紹介するつもりはありません。人間生活の向上を目指す土木建設、その基礎となる土木工学の基本は大地の上で行われるということです。したがって大地に関する知識が無いと土木建設は成り立たないことは自明のことでしょう。この入門書は、工学者に、大地に関する知識に興味をもっていただくための最初の手引書といったところです。
トップページへ