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日曜の地学9 栃木の自然をたずねて

【内容紹介】●本書「刊行によせて」より


 栃木県は日光や那須に代表されるように、豊かな自然に恵まれたところです。
 しかし、最近は開発と都市化の波の中で、私たちの生活において自然と直接触れ合う機会はしだいに失われつつあります。一方、人びとの生涯学習への意欲の高まりや、地球環境を守ろうという世界的気運の中で、自然の成り立ちや自然の魅力をもっとよく知りたいという要求も高まってきております。
 子どもたちの「理科離れ」ということも言われておりますが、バードウォッチングや自然の観察会に参加しようとする人びとが増えてきており、また、全国的に自然系の博物館が次々とオープンしているというニュースも聞かれます。こうした中で博物館ではそれぞれの地域の自然を紹介する展示がなされ、いろいろな観察会や講座なども積極的に行われています。
 博物館を利用することは地域の自然を知るためのよい手がかりになりますが、自分の足で栃木県の自然を探訪しようという時によいガイドになってくれるのが本書です。この本は県内の大学や学校、博物館などに勤務する多くの方々が長年にわたって実地に調べてきた結果をコースガイドの形にまとめたものです。また、最近の学問の成果もわかりやすく紹介されています。
 本書を手にして、皆さんも栃木の豊かな自然の探究の旅に出てみませんか。
【内容紹介】●本書「まえがき」より

 栃木県は、日光国立公園の中心に位置しており、四季おりおりにさまざまな表情をみせる自然に恵まれています。東西両側を山地に囲まれ、そのあいだに中央平地が南北にひろがっており、西側の山地は那須火山帯に属し標高が高いが、東側の八溝山地はなだらかな山並みをつくっていて、これらの地域は豊かな自然環境につつまれています。
 本書は自然を観察し理解を深めるための手引きとして、栃木県内各地で自然をたずねようとする人びとにできるだけ役立つことを願って、地域別、項目別に編集いたしました。
 そのために、地形、地質、岩石、火山などとともに、地震、気象や温泉、地下資源、さらに植物、動物などの観察や、自然とのかかわりあいの中で生活してきた古代人の遺跡めぐりなども取り入れました。
 前述しましたように本県はきわめて自然に恵まれた土地柄ですが、時代の推移にともない自然環境にも変化をもたらしつつあります。それは人間の生活が最近になり多様化して生活の場所である自然環境そのものが破壊され始めたからです。従来は自然現象とみられたことも人間活動に関係しているものが多くなってきています。このようなことから自然環境をどのようにして保全していくかは急を要することと考えられます。そのためには自然を正しく学ぶことが大切となります。
 本書が自然を愛するみなさまにとって、栃木の自然を理解するための一助として役に立てば幸いです。
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