| 岡本芳美[著] 4,000円+税 A5判上製 226頁+カラー口絵2頁 2014年3月刊行 ISBN978-4-8067-1474-3 近年の異常気象や集中豪雨を経て国土の強靭化が叫ばれる中で、どのような河川管理が必要なのか。 降雨の流出現象と流出過程、計算流域の地形から、日本のすべての河川に対応可能な流出計算の手法を余すところなく解説。 (※流出計算マルチ・タンク・モデルに基づく分割法の実行のためのプログラム公開サイト:http://okamoto-institute-of-hydrology-and-river-engineering.info/) |
岡本芳美(をかもと・よしはる)
1937年
仙台市に生まれる
1959年
東京都立大学工学部土木工学科卒業
建設省入省、建設技官
関東地方建設局企画室
利根川下流工事事務所波崎出張所、同事務所調査課調査係
河川局治水課
関東地方建設局企画室地方計画係長
利根川上流工事事務所渡良瀬川遊水地出張所長、同事務所調査課長
建設大学校教官
1959年
文部省転任、新潟大学助教授(工学部土木工学科)
1991年
新潟大学教授
2002年
文部省退官、岡本水文・河川研究所設立
【学位】
工学博士("山地河川流域に於ける降雨による洪水流出現象の研究"により東京都立大学より、1980年)
【代表著書】
単著
『河川工学解説』(工学出版社、1968年)
『技術水文学』(日刊工業新聞社、1982年)
『開水路の水理学解説』(鹿島出版社、1995年)
『緑のダム・人工のダム』(亀田ブックサービス、1995年)
共著
『土木学会編 土木工学ハンドブック 第27編 河川』(技報堂出版、1964年)
『図解土木用語辞典』(土木用語辞典編集委員会、日刊工業新聞社、1969年)
『水の総合辞典』(水の総合辞典編集委員会、丸善、2009年)
【代表論文】
"日本列島の山林地流域における降雨の流出現象に関する総合的研究"(土木学会論 文報告集第280号、1978年12月)
"雨量観測線上における細密な雨量観測"(水利科学 No.318、2011年4月)
はじめに
第 I 部 分割法
第1章 計算システムの概要
1 分割法について
2 計算手順について
3 帳票について
4 抽出票について
5 特に準備すべき機器・用具・用品等について
6 大流域への適用について
7 雷雨のような短時間集中豪雨への対応について
第2章 帳票
1 帳票の種類
2 帳票によるデータ入力の仕方について
3 帳票一覧
第3章 計算の手続きの全容
1 作業図面の準備
2 流域の分割
3 基礎データの登録
4 地形の測定
5 土地利用状況の判定
6 土地利用の測定
7 調査
8 計算条件の設定
9 水文データの蒐集
10 計算機等の準備
11 データの入力
12 計算の実行
13 完全な計算例
第4章 分割法の多機能性について
1 分割法の多機能性
2 過去・未来の川の流れを計算出来る
3 気候の温暖化に伴う川の流れを計算出来る
4 山林の荒廃の影響を計算出来る
5 複雑化した水利体系を計算出来る
6 降雨の地域分布の効果を計算出来る
7 河道の効果を計算出来る
8 水田の治水効果を計算出来る
9 山林の効果を計算出来る
10 地質の効果を計算出来る
11 地形と土地利用の効果を計算出来る
12 小さな川からどんな大きな川まで適用出来る
13 水文データの無い川に適用出来る
14 モデルの修正や追加が自由に出来る
15 計算の中を見ること、説明責任を果たすことが出来る
16 短期間と長期間の区別なく計算が出来る
17 計算開始時の川の状態を的確に計算に導入出来る
18 大雨が降って大水が出た時、川のどの地点で大水が溢れ、洪水になるか計算出来る
第 II 部 基礎モデル
第1章 モデル組み立ての基礎
1 分割法の基礎モデル
2 分割
3 分割の地形
4 分割の地層の構成
5 分割の山の地質
6 分割の土地の形態
7 各土地の排水路とその他の川の長さ
8 各土地の排水路・その他の川・区間の川の流れの単純化
9 地下水の流れの単純化
10 流出計算の流れ
第2章 5種類の理論タンクとその計算方法
1 タンクの種類
2 溢流頂がある差し引きタンク
3 溢流頂がない線形タンク
4 溢流頂がある線形タンク
5 溢流頂がない疑似非線形タンク
6 溢流頂がある疑似非線形タンク
第3章 要素モデルによる全体モデルの組み立て
第4章 要素モデルの全容
1 降雨モデル
2 蒸発発散モデル
3 山の谷川の面モデル
4 山の林モデル
5 山の水田モデル
6 山の畑モデル
7 山の市街モデル
8 山の林の道路モデル
9 山の高速道路モデル
10 山の露岩モデル
11 山の荒廃林地モデル
12 山の静水面モデル
13 平地の小川の面モデル
14 平地の水田モデル
15 平地の畑モデル
16 平地の林モデ
17 平地の市街モデル
18 平地の高速道路モデル
19 平地の崖モデル
20 平地の静水面モデル
21 平地の野原モデル
22 湖の水面モデル
23 区間の川の面モデル
24 山の中間層モデル
25 山の地下水層モデル
26 平地の地下水層モデル
27 山の谷川の河道モデル
28 平地の小川の河道モデル
29 区間の川の河道モデル
第5章 初期値の設定
1 計算開始時の水系の状態を表す指標値
2 計算開始流量の配分
3 タンクの計算開始水深の決定
第6章 特定流域独自のモデルの係数の値の設定規則
1 マルチ・タンク・モデルの出発点
2 マルチ・タンク・モデルの係数を試算で求めるためにはどのような流量観測の仕方が望ましいか
3 係数の敏感度について
4 流域独自のモデルの係数の値設定規則の求め方
5 検証流量が無い流域についての計算結果の処理
分割法プログラムの公開について
おわりに
索引
本書は、旧新潟大学岡本水文・河川研究室が提起した降雨の流出計算のためのマルチ・タンク・モデルに基づいて後継の岡本水文・河川研究所が開発した、河川管理のための雨から川の任意の地点の流れの量を計算する分割法の解説書です。
本書は2部構成になっています。第1部においては、完全な計算例を示しながら、分割法を詳細、かつ具体的に説明しております。第2部においては、基礎モデルの流出計算マルチ・タンク・モデルを漏れなく説明し、モデルが持つ係数の値を示しています。
本書で述べられている方法によれば次に列挙する事柄が容易です。
・過去・未来の川の流れを計算出来る
・気候の温暖化に伴う川の流れを計算出来る
・山地の荒廃の影響を計算出来る
・複雑化した水利体系を計算出来る
・降雨の地域分布の効果を計算出来る
・河道の効果を計算出来る
・水田の治水効果を計算出来る
・山林の効果を計算出来る
・地質の効果を計算出来る
・地形と土地利用の効果を計算出来る
・小さな川からどんな大きな川まで適用出来る
・水文データの無い川に適用出来る
・モデルの修正や追加が自由に出来る
・計算の中を見ること、説明責任を果たすことが出来る
・短期間と長期間の区別なく計算が出来る
・計算開始時の川の状態を的確に計算に導入出来る
・大雨が降って大水が出た時、川のどの地点で大水が溢れ、洪水になるか計算出来る
また、書籍刊行と並行して、本書の内容を完全にコンピュータ・プログラム化した 『分割法ファイル』をインターネット上で公開しております。
(※流出計算マルチ・タンク・モデルに基づく分割法の実行のためのプログラム公開サイト:http://okamoto-institute-of-hydrology-and-river-engineering.info/)
この計算法の普及によって日本の国のより豊かな河川環境が確保されることを願っております。
2014年2月
旧新潟大学岡本水文・河川研究室
現岡本水文・河川研究所
元新潟大学教授
工学博士 岡本芳美