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野生動物発見!ガイド
週末の里山歩きで楽しむアニマル・ウオッチング

福田史夫[文]
武田ちょっこ[絵]

1600円+税 四六判 176頁 2007年5月発行
ISBN978-4-8067-1348-7


TVチャンピオン★野生動物発見王選手権
出場コンビによる最強ガイド!


フン、足跡、ツノトギ跡、食痕、鳴き声……etc.
動物を見つけるための手がかり探しから、
動物へのアプローチの仕方まで、
動物発見の達人が、とっておきのテクニックを伝授。
本物の野生動物に出会えます!

役立つ写真、楽しいイラスト満載。
読むだけでも、実際に野山を歩いて動物を探している気分が味わえます。

TVチャンピォン・野生動物発見王選手権で意気投合(?)した二人。

福田「フィールドサインを解説した本はたくさんあるが、みんな、足跡の説明とデータだけで終わっている。それだけじゃ、つまらんだろーがッ!」

ちょっこ「そうですよ〜。足跡は本を見ればわかります。それより足跡って、あの広〜い山のどこに残ってるんですか? 見つかるわけないじゃないですかー!」
………というわけで、(福)の専門的なでもわかりやすい解説+(ち)の楽しくってためになるイラストで、実際に使えて、もっともっと動物が好きになる本をめざしました。

書評再録 読者の声
【主要目次】


はじめに

準備編〜出かける前に知っておきたいあれこれ
動物ウオッチングに出かけよう
  郊外の農耕地周辺へスニーカーで出かけよう
  地形の説明
  山道を歩く
  歩くときのスタイル
  山歩き用の持ち物
  観察・アプローチ用の持ち物
どうやって動物を探す?……手がかりはフィールドサイン!
  フィールドサインって何?
  どんなものがフィールドサイン?
  特別なフィールドサイン


動物ウオッチング・実践編〜日本に生息する出会いやすい哺乳類16種
 ニホンザル
 モグラ
 アブラコウモリ
 ノウサギ
 ニホンリス
 ムササビ
 カヤネズミ
 ツキノワグマ
 キツネ
 タヌキ
 テン
 イタチ
 アナグマ
 イノシシ
 シカ
 カモシカ


その他の哺乳類(*は移入種)
 ヒミズ
 ハツカネズミ
 アカネズミ
 モモンガ
 ヤマネ
 オコジョ
 ヌートリア*
 マスクラット*
 アライグマ*
 ハクビシン*
 ジャワマングース*
 タイワンザル*
 アカゲザル*
 キョン*


もっと詳しく知るために
 動物の身体測定
 地面への足のつけ方(歩き方)
 哺乳類のツメ
 肉食獣のフンと草食獣のフンの違い
 それぞれの歯の数の違い
 巣をもつ動物と巣をもたない動物
 モグラはウンチもオシッコもお尻から
 哺乳類は鼻(嗅覚)が利く
 冬眠と冬ごもり
 乳首の場所と数
 毛の生えかわり
 骨の形はどの動物も同じ
 声を出す動物と出さない動物



本書で取り上げた動物30種(50音順。*は移入種)
 アカゲザル*
 アカネズミ
 アナグマ
 アブラコウモリ
 アライグマ*
 イタチ
 イノシシ
 オコジョ
 カモシカ
 カヤネズミ
 キツネ
 キョン*
 シカ
 ジャワマングース*
 タイワンザル*
 タヌキ
 ツキノワグマ
 テン
 ニホンザル
 ニホンリス
 ヌートリア*
 ノウサギ
 ハクビシン*
 ハツカネズミ
 ヒミズ
 マスクラット*
 ムササビ
 モグラ
 モモンガ
 ヤマネ/TD>

【はじめに】


 2月の寒い朝、飛騨川上流域の山でサルの調査をするため、沢沿いの細い道を歩いていました。数日前から、この道沿いで新しいフンをたくさん見つけていたので、サルが生息していることは知っていましたが、群れの大きさを知りたかったのです。
 こんな寒い日は、サルは日が当たる暖かい斜面にいるだろうと狙いをつけ、日当たりのよい斜面が見える対岸の尾根まで登ることにしました。やっとの思いで尾根まで登り、100メートルくらい離れた対岸の日が当たっている所をなにげなく見たときです。
「クワーン」というサルの警戒音が谷間に響き、伐採後の切り株だと思っていたものが一斉に動き始めました。サルたちが日向ぼっこしながら休息していたのです。

 見たいと思う野生動物を探し求めて出会えたときの喜びは、なにものにもかえがたいものです。タンザニアの国立公園でガイドつきの四輪駆動車に乗ってチーターに出会うのとは、比較にならないほど大きいものです。
 それは、自分の足で野山を歩き、汗をかき、野山に残された動物たちの生活の痕跡を自分の目や耳や鼻で知り、自分で考え、判断して観察できたからでしょう。野生動物と自分が同じ時間と場を共有して、自然と一体感をもてたということの喜びであるのかもしれません。

 この50年間、日本は、さまざまな開発や治山・治水工事、森林伐採、拡大造林によって、野生動物たちの生息域が狭められたり、破壊されたりして、ある動物たちは絶滅・減少し、一部の動物たちは餌を求めて市街地周辺まで姿を見せるようになっています。
 また、人々の野生動物の見方が変わった結果、動物たちの人への対応が以前とは違ってきたり、ペットブームによって、日本には棲んでいなかった動物たちが、もともと棲んでいた動物たちの生活を脅かしたりしています。

 ぼくは皆さんに、日本の山野に昔から棲む動物たちをもっと知って、興味をもってもらい、日本の自然を守る一歩にするために、この本を書きました。
 本書は、日本で比較的普通に観察できる哺乳類を中心に取り上げ、観察しやすいニホンザルを最初に説明してあります。
 各動物ごとに、その動物のフンや足跡、巣などのフィールドサイン、フィールドサインを見つけやすい場所、フィールドサインから動物にアプローチする方法を説明しています。
「その他の哺乳類」では、どこにでもいるもの、逆にめったに観察できないもの、移入種のおもだったものを取り上げました。
 さらに、知っていると役に立つ知識を、巻末にまとめてあります。
 なお本書では、「発情季」「出産季」など、期間の期ではなく季節の季にしています。動物たちが発情したり交尾したりする時季は、季節が決まっているからです。英語では、Mating season(交尾季)、Breeding season(繁殖季)のように、すべて季節を使用しています。

 動物好きな人、釣りやハイキング、登山、キャンプが好きで自然に親しみたいと思っている人たちに、ぜひこの本を読んでいただきたい、使っていただきたいと思います。
 さあ、本書を手に野山へ出かけましょう。
 きっとあなたも野生動物に出会えますよ。

福田 史夫