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犬の科学ほんとうの性格・行動・歴史を知る

スティーブン・ブディアンスキー[著] 渡植貞一郎[訳]

2400円 四六判 328頁 2004年2月発行 ISBN4-8067-1281-7


生物学、遺伝学、認知科学、神経生理学、心理学などが、
犬にまつわるこれまでのストーリーをつくり替えようとしている。

科学雑誌ネイチャーを経て、ニュース・アンド・ワールドレポートの副編集長となった、新時代のサイエンスライターが、犬の世界をわかりやすく解説。

『盲導犬クイールの一生 』
『ハラスのいた日々』に感動したあなたへ…
人が犬に魅了されるのは、
人のせい、犬のせい……それとも?
最新生物学が明かす、犬という生き物の進化戦略とは?

犬の科学研究の全分野をやさしくまとめて、これまでの誤りを正し、そのうえ、面白い逸話を紹介している。本格的な生物学にもとづいているのに、エンターテインメント。犬の祖先は狼なのかジャッカルなのか?犬にも罪悪感があるのか?などと考えている愛犬家には、たまらない。 −−ニューヨーク・タイムズ書評

ヒトが野生動物とつきあわなくなってから久しい。動物との交流が失われた結果、人間の感性が変化し、擬人主義だけになってしまった。著者はこの問題にはっきりと解答する。犬は人ではない。犬は犬、人は人なのだ。だから、両者は全く違うやりかたで世界を見、違う心を持っている。それなのに、たがいに見つめあい、交流し、生活を豊かにしているのは、なんと気高いことではないか!と。たがいの違いに気づかないことが、犬に問題がおきる理由なのだ、と。−−アメリカン・サイエンティスト書評

書評再録 読者の声
【主要目次】

1章 人は、なぜ犬をかわいがるのか?
   人が犬に飼われている
    犬が与えてくれる多くのこと
    人間に寄生する生き物?
    愛すべき犬の性質を知ろう
    小さくてかわいいものを守りたくなる本能とは?
    科学がようやく犬に注目し始めた

2章 犬がペットになるまで
   すべての動物をペットにできるわけではない
    人間のところに転がり込んだ犬
    「狼が犬になった」は本当か?
   遺伝子時計でわかった犬の祖先
    犬は、狼より人間と親しかった
   ペットではない野良犬について
    ゴミあさりをする嫌われ者
    野良犬は飼い犬より危険ではない
   なぜ、犬に魅かれたのか?
   犬種の起源
    犬に種類はあるのか?−−ケネルクラブの分類
    犬種の系統図をつくる
    増え続ける犬の種類
    近親交配について
   遺伝子の違いは小さいのに、犬種で体や行動などが大きく異なるのはなぜか?
    変異の源
    犬種に差異が生まれた原因
   犬の行動が本能とズレているワケ
    成犬でも子供っぽく見える行動をするのはなぜ?
    目的のない行動を繰り返すのは?
    犬の行動でわかる遺伝子

3章 犬は礼儀正しい?
   犬は、人と狼の間を行ったり来たりする
   犬は狼である(長所)
    上下関係がわかるので、人間社会に適応できた
    団結性と協同性について
   犬は狼である(短所)
    排尿
    繰り返し行動
   犬は狼ではない
    平和主義者でのんびり屋さん
    狼と犬の違いを生んだもの
   子犬はどう育っていくのか?
    刷り込みについて
    社会化するのに、適した時期
   上下関係がわかる
    子犬の生後2カ月間
    子犬同士の優先順位は、その後の序列と関係ない
   犬に忠誠心はあるのか?
    忠犬のように見えるが、実は違う

4章 犬のコミュニケーションは歌舞伎だ
    人間と動物のコミュニケーションは同じもの?
   身振りで会話する
   音で伝える
    唸り声、クンクン啼き
    犬や狼の遠吠えは、何のため?
   とても役立つ吠え声
    わんわんと吠える
    犬は吠え声の名人
   犬は単語の意味を理解できるのか?
    人間の母音を聞き分けられる不思議
   におい

5章 百万種類の香りに満ちた、二色刷りの世界
   犬の見ている世界
   犬の色覚
   鋭い聴覚
   かぎわける

6章 犬と猿、頭がいいのはどっち?
    あなたはまだ動物の知能ランキングを信じていますか?
   犬は劣等生か?
   あなたの犬は賢いのか?
   罰ゲーム的教育法
    罰を無視することを学習してしまう
    犬にとって最高の報酬とは?
   犬たちの精神生活
   犬だけが特別なのか?
    テレパシーを使う犬

7章 奇妙な振る舞いには、ワケがある
    奇妙が異常ではありません
   祖先からの迷惑な贈り物
    おもらしを罰してはいけない
    吠え過ぎなどをやめさせる
   犬は人間を犬だと思っている
    人としての人、犬としての人
    犬のなわばり行動
    関心を得るためには手段を選ばない

8章 困った犬、困った飼い主
   人に咬みつくのはなぜ?
    危険な犬種
    いろいろな怒り
   しつけの失敗
    生まれつき威張りたがる犬
    飼い主の性格と犬の攻撃性の関係
   破壊行為
   犬のためにも、犬に勝つ
    スプリンガー凶暴性という現象

9章 未来の犬たちへ
    犬の繁殖家(ブリーダー)たちへ
   クローン技術とドッグショー
    近親交配は、旧式な手段によるクローンづくりである
    純粋犬種に出現している遺伝子疾患
   近親交配と遺伝子の森
   賢さかルックスか?
    近親交配の害
    現代遺伝学からみた純粋犬
    健康をとるか?ルックスにこだわるか?
    股関節形成障害は誤解されている
   分子遺伝学は、遺伝病を解決する?

   最後に(すべての愛犬家へ)
   参考文献