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よみがえれ生命の水
地下水をめぐる住民運動25年の記録

福井県大野の水を考える会[編著] 1900円 四六判 358頁 2000年8月発行

日本に巣くう病巣を鮮やかに浮き彫りにする書。
水質調査をはじめとする継続的で着実な調査。リーダーを議会に送り込み、行政を効果的に動かす科学的な調査にもとづく力量。それでも超えられない政治・経済の利権構造……
行政にかかわる住民運動のモデルケースとして全国的に注目を集める活動リポート。

●大野の水を考える会
〒912-0083 福井県大野市元町11-12 TEL・FAX 0779-66-1691
E-mail Address=tcs@land.hokuriku.ne.jp(大野の水問題情報紙「大野の水情報」お申し込みなど)
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【主要目次】
【第1章 手おくれの地下水対策】
  1. 新聞の警告記事(井戸枯れに泣く大野市/主婦開眼)
  2. 地下水のまち大野市と三八豪雪(地下水が育てた大野の味/大量の地下水くみ上げ/三八豪雪/見おとした地下水の赤信号)
  3. 地下水融雪と井戸枯れ(赤ちゃんのオシメが洗えないと泣く女性/水キチオバサンと地下水審議会)
  4. 実態調査で地下水保全条例をせまる(1戸の屋根融雪は200戸分の生活用水/挫折した地下水保全条例と寺島市長の死)
  5. つまずいた上水道政策(市の当初計画は簡易水道/水の計量になれない市民)
  6. 県の融雪再開で、議会出馬の決意(五六豪雪で市の条例棚上げ/議会へ出よう)
【第2章 議会へ出て知る地方政治の実情】
  1. 女のあんたにゃ任せられない(政治は夜つくられる/下水道対策委員会の中身)
  2. 公共事業で殺された大野の地下水(拡大される公共事業/枯れはじめた湧水)
  3. 地方政治をゆがめる補助金行政(三割を切る大野市のふところ/真実を言えない公共土木事業の現場)
  4. 行政の上水道信仰(天然の地下水があるからまちが発展しない?/かげりの出ていた都会の上水道)
  5. ダム計画と産業政策(清滝川のダム計画と工業用水の浪費政策/ダム計画歓迎の産業界と上水道会計の赤字)
  6. 人間的良心をしぼませるお役所カラー(地下水問題を避けてきた職員/庁内を覆う事なかれ主義)
【第3章 トヨタ財団の助成と市民の調査活動】
  1. 専門家を探し求めて(柴崎達雄博士との出会い/大野盆地は日本の地下水問題の縮図)
  2. 大野盆地の湧水調査(女子学生さんと始めた湧水調査/農地の基盤整備とともに姿を消した大野の湧水)
  3. 大野盆地の河川調査(盆地を流れる四本の一級河川/双子の湧水川、木瓜川と善導寺川)
  4. 湧水地帯に集中している繊維工場(大量揚水を可能にした豊富な湧水地帯/染色工場の排水公害)
  5. 湿地埋立ての駅東都市計画(深い排水路で地下水を抜き捨てる/地下水を邪魔者扱いする土木関係者)
  6. 調査で学んだ自然への畏敬(枯れた湧水跡のお地蔵様/大地から地下水を絞りとる戦後の開発)
  7. 「おいしい水は宝もの」の出版(身近な地下水保全運動の歴史/出版で広がるネットワーク)
【第4章 名水シンポジウム開催と国の水政策転換】
  1. 名水シンポジウム大野市への道のり(環境庁の英断/郡上八幡で大野の水自慢)
  2. 水環境シンポジウムを水観光にとりちがえた市長(河川水を上水道、地下水を工業に使いたかった市長/「水の会」徹夜の資料づくり)
  3. 浮かびあがった地下水の流れ(80人の地下水調査隊/浮かびあがった3本の地下水の流れ)
  4. シロウト・サイエンスに歓声(シロウトだからできた調査とほめられる/夫や子どもたちに広がった郷土学習)
  5. 5.もう一つのシンポジウム「水の会」の前夜祭(おわびの気もちで前夜祭を開く/地酒をくんで本音を語る)
  6. 大会は地下水保全の核心にせまれず(「地下水は市民の共有財産」を主張/第4回大会宣言)
  7. 国土庁、水政策に女性の視点導入(水政策を語る女性委員会/表流水にかたよる水政策の転換を要望)
  8. エイボン大賞の受賞(女性の政治参加と新しい市民運動への励まし)
【第5章 地下水汚染と専門家の支援】
  1. シリコンバレーからの警鐘(大野の地下水障害、量プラス質に/地元研究者のアクセスで内密調査)
  2. 昭和62年、有機溶剤の汚染発見(環境審議会会長、渋る行政にハッパ/汚染井戸3ヶ所、1本の筋状に)
  3. 情報かくしで広がるパニック(県と市のダブルミス/誤解を招いた横割り町名の汚染地区発表)
  4. 立ち上がる市民と専門家の支援(県外の専門家にSOS/地下水を捨てたら絶対ダメと専門家/市民の調査した汚染マップ)
  5. ソーラーシステムの人見先生、汚染現場に(人見先生の家族旅行/赤く染まったガス検知管)
  6. 子どもに環境教育(子育てを間違えた日本の戦後/戦前の分校の思い出)
  7. 立ちおくれる県の公害行政(発生源特定の大野市に怒る県/産業保護に傾く県の公害行政)
  8. 現場観察で汚染土取り残し発見(早朝の現場観察/取り残されていた汚染土)
  9. 汚染土除去の講習会に参加(県と市に受講を要請/旧河道の地下水流速はダルシーの法則の30倍)
  10. 草の根議員全国大会の開催(市民派議員のネットワークで反省する)
【第6章 水源地への企業誘致計画と住民訴訟】
  1. 土地公社理事会で誘致計画発表(土地公社は行政のダミー/中据は川の流れを意味する地名)
  2. 強引な誘致計画に怒る市民(誘致は半年前にお膳立て/怒る市民)
  3. 市民側は「地下水汚染シミュレーション」で対抗(津郷教授のシミュレーション/6ヶ月で大野盆地を縦断する汚染物質)
  4. チラシ合戦と「ウソ」の発表(賛否両論のチラシ合戦/市報で「公害の不安まったくなし」とウソの発表)
  5. 訴訟の決意、誰が原告になる?(ひそかな決意、自分が立とう/大久保京子さん助っ人に)
  6. 進出企業は公害マークだった(現地調査で判明した企業の公害/若い人たちの土壌採取/公害規制値の甘い福井県)
  7. 名水訴訟を闘う市民の態勢(佐藤辰弥・梶山正三の2人の弁護士/「名水保存会」が裁判支援に立つ)
  8. 判決は「公害の未然防止の願い」却下(訴状抜粋/市側弁護人「若者や主婦は原告の資格なし」を主張)
  9. 日本の公害裁判は市民に立証責任(市民にきびしい立証責任/鮮やかな梶山弁護士の立証)
  10. アメリカは、企業に立証責任(アメリカのスーパーファンド法/日本でも必要な市民の調査権の保障)
  11. 市民の示した名水訴訟への意思(満席の傍聴席/老女の励まし)
【第7章 環境保全の夜明け】
  1. 草の根選挙で環境派市長を送りだす(新人市長候補の英断に感謝する/ボランティア選挙に燃える)
  2. NHK出版の「大野の豆腐はなぜうまい」(名水と食文化)
  3. 情報公開と環境教育(情報公開への歩み/市職員の意識改革)
  4. ホタルのために河川改修を変更した県土木部(ホタル絶滅の危機/ホタルのために設計変更)
  5. 市が天然ブナ林のナショナルトラストを(周囲の理解に支えられて)
  6. 中野清水を市民が復活(市民と行政の提携/若手職員グループも応援)
  7. 情報公開条例の成立(まず情報公開から/情報化時代に必要な住民のレベルアップ)
【第8章 地下水蘇生プロジェクトチームを結成】
  1. 専門家の応援をえて市民による本格的調査を再開(「水を考える会」の組織建てなおし/地下水温は一定でない)
  2. 「おいしい地下水」の水質(理想的なおいしい地下水の条件/硝酸性・亜硝酸性チッソの問題)
  3. 農薬と地下水汚染(中据事件で議論沸とう/プラスイオンとマイナスイオン)
  4. O-157事件と大腸菌群問題(O-157事件と保健所の水質検査/大腸菌群検査陽性で捨てられてきた地下水)
  5. 清滝川探訪(清滝川の源流を知る/木本を過ぎると水は地下にもぐる/東中から横枕まで水なし川/新在家で川底から大量の湧水/探訪で知る清滝川の生態)
  6. 地下水蘇生の六つの提言(専門家グループの来訪/「大野の地下水を蘇生させる六つの原則」)
【第9章 古い政治体質とコンサルタント体勢】
  1. 古い議会体質(若い市長に反発/政策研究より会派の論理/議会制民主主義の危機)
  2. 自治体の政策立案能力(中央に自治の芽を摘まれてきた市町村/専門職の養成を怠る)
  3. コンサルタントと行政の癒着(開発行政のお墨付き? コンサルタントの報告書/情報非公開が不正を生む)
  4. 市、過去の資料を整理し公表(国土庁の水循環特別予算で過去の資料整理/専門家のコメント/崩れていた専門家の良心)
  5. “ハコモノ”政治を支える県民性(内面より外面を気にする県民性/ハデな冠婚葬祭とハコモノ政治)
  6. 審議会は行政のかくれみの?(専門性不足の委員構成/民主主義のタテマエがほしい行政の意図)
  7. イトヨ対策に見られる水哲学欠如(天然記念物・イトヨ/地下水と縁のないイトヨ対策事業/イトヨのすめるまちづくりを)
【第10章 合併浄化槽への取り組み】
  1. 汚染処理行政の2人の先覚者(福岡県久山町・故小早川町長/穂高町の故島田技師)
  2. 石井式合併浄化槽+木炭トレンチ併用実験(石井式と新見式を連結させる/木炭トレンチの浄化作用/チッソ・リンの除去と木炭トレンチ)
  3. 実験でわかった意外な発見(効果の大きい嫌気槽処理/塩素漂白剤の失敗/し尿の汚濁負荷について/生活排水BOD負荷量は厚生省の1.5倍/微生物補強について)
  4. 合併浄化槽実験の総括
  5. 地域への波及(集落ぐるみで合併浄化槽/福井県今立町の排水処理計画に)
  6. 実験を通し汚水処理の原点を考える(はびこる無責任体制/汚れを嫌う人間の本能/し尿は土にもどそう)
【第11章 大野市の上下水道政策と地下水】
  1. 二兎を追う「名水保全」と「上下水道」(足元を見なかった施設主義、上水道のつまずき/市街地の飲料水対策は、共同の深井戸方式で)
  2. 農業集落排水事業(始めに計画ありき/農集排事業、そのコストと浄化率/県土地改良連合会を訪ねる)
  3. 動きだした大野市下水道計画と地下水(議会の水政策特別委員会廃止/上水道をもたない愛媛県西条市の下水道)
  4. 地下水の視点が欠けた下水道政策(高い地下水位に絶句したコンサルタント/市民を抜きにしてすすめられる計画)
  5. 水を考える会の対策試案(大野市の公共下水道計画の不安10ヶ条/「水を考える会」の対策試案)
  6. かくされていた国の下水道計画見なおし案(阪神・淡路大震災で国の下水道計画見なおし/5ヶ月おくれで市長に届いた見なおし案)
  7. ことを急ぐ利権集団の背景(利益集団にとっての公共下水道の経済効果/現状を打破できない知識不足)
  8. 工事現場の大量出水(地下水位1メートルの地点を8メートル掘る/専門家のコメント/もっと心配な管きょ工事)
  9. 下水道政策を考える(下水道と財政---加藤英一氏の講演/下水道行政の本質をえぐる宇井先生/コンサルタントは良心的だった)
  10. 拒否された提言(専門家の提言に反発する行政/無責任路線を歩みだした下水道行政)
  11. 下水道政策の見なおし議会で追及(下水道管きょ工事の現場検証/地方自治法違反と三月議会で追及)
【終章 いのちの水よ、よみがえれ】
  1. 地下水問題の根源(歴史はくり返す/どうして地下水利用の優先権が書けないのか/生きているぞ、大野の地下水は)
  2. いのちの水を100年後の子孫に残すために(破壊の歴史にピリオドを/100年の展望で水政策を!)
  3. いのちの水をまもるための具体的提案
  4. 議会よ、さようなら(16年の議会生活に別れを告げる/若い人にバトンタッチ)
  5. 21世紀ヘの若いうねり(新生「大野の水を考える会」出発/いのちの水はよみがえる/大きな愛に包まれて)
【第2部 会員の声】
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